シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP『バッタンバンのタッカシー』山内麻美

紀伊国屋「おすすめの1冊」

2011年8月1日

『バッタンバンのタッカシー』山内麻美

photo-212008年にファンタジー小説『トコトワ』を上梓した、シンガポール在住の著者。このノンフィクション作品は2作目にあたる。

焦点が当てられたのは、堀本崇さんという人の生き方。アジア子供教育基金の代表として、カンボジアの教育、生活支援活動を行う。カンボジア政府からは、国家建設功労第一等勲章も受章した。しかし志半ばで、交通事故のため帰らぬ人となる。

個人として、カンボジア支援に全力を尽くしたその姿は、読み進めていくうちに熱い気持ちにさせてくれる。彼の活動はボランティアであったが、精神はプロフェッショナルそのものであった。

「どうして、そこまで他人のために努力することができるのだろうか」。その事は、読了した後でもすべては分からなかった。分からなかったのだが、彼の真っ直ぐで純粋な姿勢には、強い共感を覚えた。著者の文章力、取材の力だと思う。

結果として、読む者が勇気づけられてる、そういった一冊である。

 

未知谷/ISBN:9784896423365

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.194(2011年08月01日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 氏家

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