シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP『仙台ぐらし』伊坂幸太郎

紀伊国屋「おすすめの1冊」

2012年5月7日

『仙台ぐらし』伊坂幸太郎

photo-4伊坂幸太郎の作品が好きで、新しい作品が発売されると直ぐに購入していたが、「あるキング」以降は少し悩みながら購入している。悩みながらも一冊も欠かさずに購入しているので依然としてファンなのだろうが、以前ほど熱狂的でもなく、惰性で続けている感じもする。

その伊坂幸太郎は、仙台に住んでいる。昨年の震災の被災地に、幸いにして付き合いが深い友人や知人はいなかったこともあり、最初に彼の安否が気になった。震災から数日後、出版社情報で彼の無事が確認できたことを、知人に教えてもらった。

本書は「仙台学」に寄稿したエッセイをまとめたものだが、震災後に書かれた文章も一緒にまとめられている。これを読むと、昨年のあの震災は人々の生活を変えてしまったのだと、あらためて痛感した。

本書に掲載された短編「ブックモービル」も面白かった。伊坂幸太郎には、今後もこのような、少し考えさせられる点もあるが基本的には楽しい、物語を書き続けて欲しいと願う。

 

荒蝦夷/ISBN:9784904863183

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.211(2012年05月07日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 茂見

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