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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2019年9月25日

地鳴りするシンガポール不動産市況

~米中貿易戦争で五里霧中、先が見通せなかった当地不動産市況にも動き~

● 「地政学」的影響を大きく受けるシンガポール

 第2次冷戦ともいわれる米中対立に混迷する香港情勢。二転三転するブレグジットの行方やホルムズ海峡・朝鮮半島情勢などなど、対外依存度が高い小国がゆえにその影響を大きく受けるのがシンガポール経済、そして不動産市況です。

 

● 今年の経済見通しはほぼゼロ成長
 貿易産業相は、今年の経済成長率見通しを0.0~ 1.0 %と、従来予想の1.5%~2.5%から大幅に引き下げました。シンガポール金融管理庁(MAS)によれば、製造業・卸売り/小売業はマイナス2.8%成長。輸出(ただし、石油ならびに再輸出を除く)はマイナス9.2%を予測。これらは、デベロッパー・消費者双方のマインドを冷します。

 

● 香港からの投資流入
オフィスビル投資に人気
 香港の「逃亡犯条例」改正案に反対する多くの市民による連日の大規模デモで社会は大混乱。その結果、多額の資金がシンガポールに逃避・流入しているといわれ、うち一部はシンガポールの商業不動産への投資に回っています。2019暦年上半期に、香港の対外不動産投資総額の25%にあたる14億米ドルがシンガポールに投資されました。代表例としては、Robinson77やDuoなどがあげられます。かたや、中国系企業がシンガポールに所有するオフィスビルは、本国での資金繰り難から売りに出されるものが増加しつつあるとみられ、これらも絶好の投資ターゲットになりつつあります。
 
シンガポールの住宅には向かわず
 一般住宅がシンガポール国民にとって手の届かない物にならぬよう、公団住宅は市民または永住権保持者以外は購入できません。また、民間住宅の場合も土地付き住宅は、原則として国民しか購入できません。民間集合住宅のうちコンドミニアムは外国人が購入できますが、約24%の実質課徴金(印紙税+追加印紙税)が掛かるため、2019暦年上半期の香港市民によるシンガポール不動産購入は、わずか12戸にとどまったと報じられています。この規制は、今後とも維持されるとみられ、香港一般市民が、逃避先として選んだ住宅は、タイやマレーシア、台湾が上位を占めています。
 

● 移民受け入れには、依然慎重?住宅需要激増は無し
 1997年の香港返還に先立って、香港人に大量の永住権許可を発給したシンガポール政府も、今回は極めて慎重のようです。安易な移民受け入れは、国民の雇用を奪うリスクもあり、まとめて誘致・受入れする兆しはありません。それ以外の国の出身者も含めて、あくまで、個人ベースで、社会のニーズや個人の資質に基づいて審査する慎重姿勢には変わりはなく、エンプロイメント・パス(EP)などについても同様で、1990年代のような、香港特需はなさそうです。
 
● 老朽化オフィス、工場、住宅の取壊し・建替えの急増
 シンガポール独立後54年を経て、住宅、事務所、工場・倉庫ビルなどの不動産インフラの老朽化・陳腐化(ニーズとの乖離)が顕在化しています。政府は、公団住宅(HDB)や公営工業団地ビルの建替え・再開発を促進してゆく方針で、同時に老朽化した民間住宅の自主的な再開発も加速化。現在、一時的な住宅不足が起きており、逆に数年後には、供給過剰が懸念される状況です。オフィスビルも新たな都市計画やインテリジェント化などを見据えた建替えが加速しています。
 
 不動産は、政治・経済・社会状況を反映する鏡でもあります。

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