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文化

2006年1月23日

旧正月(チャイニーズ・ニューイヤー)って何?

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日本では西暦(グレゴリオ暦)の1月1日が「元旦(正月)」として定着していますが、中国、台湾や韓国では旧暦(日本では天保暦)の1月1日(西暦の2月頃)を「春節」(旧正月)として一年で最大のイベントとしています。2006年は1月29~31日。本コラムは、在星日本人でも知らないかもしれない旧正月をキーワードごとに解説してみます。

大晦日、そして元旦

大晦日の晩は家族の絆を確かめるために一家が集まって夕食をとります。家の中も外も飾り物が飾られ、天井からは爆竹を型どった「火包」が吊るされ猫柳には紅包(アンパオ)が幾つも吊るされます。大晦日の夜0時、いっせいに花火や爆竹の音が響きます(シンガポールでは許可されたエリアのみ)。 家庭では道教の神様「玉皇大帝」に菜食のお供えをささげて、ひざまずき線香を手にお祈りします。 元旦になると「恭喜発財」(コンシーファーチャイ;日本だと「商売繁盛」って感じでしょうか)、「新年快楽」(シンニェンクワイラー)などと新年のあいさつをします。 ちなみに、正月2日は親戚、友人宅を訪問しあい、食事をしたり「みかん」を交換したりして楽しく過ごします。3日は 奇数の日なので外出をひかえます。4日は初詣の日で寺(仏教)、観(道教)はにぎわいます。9日は玉皇大帝の誕生日で、8日目の夜から玉皇大帝にささげるお供え物を飾り、9日の夜0時と同時に紙銭を燃やし、線香を持ってお祈りします。

春聯

大晦日には、「春聯」(チュンリェン)と呼ばれる赤い紙を家の玄関の左右に分けて貼ります。宋の時代に始まった習慣だといわれていますが、春聯はめでたい一対の句で、「歳々平安日 年々如意春(年ごとに平安な日々を迎え、毎年が春のよう)」といった文句がポピュラーだそうです。

p02逆さまの「福」

漢字が読める日本人には不思議に見える「逆さ福」です。旧正月には家々のドアや壁に赤地に黄色文字で「福」と書かれた紙を逆さま(倒)に貼られているのを見かけます。中国語で「倒」と到着の「到」の発音が同じなので、福を逆さまにすると「福倒了=福到了」→「福が到着する」、という意味になることが理由だそうです。

獅子舞

p03 (4)世界中のチャイナタウンで儀式のときに行われているいわゆる「ライオンダンス」です。金、銀や赤など派手な色の獅子は厄除けの意味があるそうです。唐代に始まり、日本に伝わったとされていますが、日本の獅子舞と比べると随分と派手ですね。

アンパオ

年長者は子供や独身の者にお年玉袋(「紅包」;ホンパオあるいはアンパオ)を渡します。p04 (3)その中には新しい紙幣が偶数枚入っています(金額も偶数)。親しさの度合いにあわせて金額も変動しますが、ちょっと尋ねてきたくらいの人でも2ドルくらいもらえることもあるそうです。

爆竹

華人社会では、旧正月だけでなく、結婚式やお店のオープンといった慶事には、幸福を祈願して爆竹を鳴らす習慣があります。爆竹には、悪や邪気を追い払うという意味合いがありますが、住宅地で火事や負傷者が出るという事故が増えたため最近は爆竹を禁止する都市が増えてきました。シンガポールもその例外ではありません。それでも「爆竹のない年越しは寂しい」と、爆竹が禁止されていないマレーシアに「年越し爆竹ツアー」へ出かける人もいるそうです。

マンダリン・オレンジ

p05 (3)特にこの時期に中国潮州産の蜜柑(みかん)が売り出されます。「柑」は「金」と同じ発音で縁起のいいものとして好まれます。また、オレンジは中国語で「吉子」=吉を運んでくるラッキーな果物だといわれているため。お正月に他家を訪問する時みかんを偶数個持っていきます。またそのお宅からみかんを偶数個もらって持ち帰ります。

魚生(ユーシェン)

旧正月のメニューとして有名なのは、「魚生」という人参、大根、落花生、そして白身魚(テラピアの一種のようです)の刺身が入ったシーフード・サラダです。「ニューイヤーサラダ」と呼ぶ人も居ます。中国本土ではあまり馴染みのない料理のようで、発祥はクアラルンプールの広東系華人社会だと言う説もあります。 ユニークなのはその食べ方で、食卓に着いた全員が椅子から立ち上がって、各自それぞれ箸で大皿に盛られた刺身と野菜を大胆に高く持ち上げながら混ぜます。このとき、「ローヘイ! ローヘイ!」と言い合います。そのすくって混ぜる動作を「撈」と書き広東語ではloh と読み金儲けの意があるようで、商売繁盛を願う行為となっているようです。更に付け加えると、広東語で「魚」は「余」の字と同じ発音で、余はゆとりがある、利益があるような意を喚起させ、おめでたい言葉だそうです。中華人は語呂合わせが余程好きな民族なのですね。

旧正月の間にはやってはいけないこと

  1. 掃除をしてはならない。幸運を逃してしまうからといわれている。
  2. 買い物をしてはならない。お金が貯まるようにという意味。このほかにもさまざまな言い伝えがある。香港では、旧正月前に靴を買ってはいけないといわれている。これは靴(広東語でハーイ)とつらいときに発するため息(ハーイ)が似ているためだという。「ため息をつくと幸せが逃げちゃう」ってか?
  3. 正月3日(今年は1月31日)は 奇数の日なので外出をひかえます。

チンゲイパレード(2006年2月3日~2月4日)

シンガポール版「リオのカーニバル」とでも申しましょうか、「チンゲイ(粧芸)」は、シンガポールの豊かな文化と国際性を体感できるシンガポール最大のストリート・パレードです。海外からの参加も含めて300名以上の参加があり(日本人会も参加します!)、各団体がきらびやかな衣装を身にまとい、華麗なパフォーマンスを披露します。観覧席のチケットは、オーチャードのビジターセンターで購入出来ます。今年は2月3日が前夜祭(18時半より)、翌4日が本番です(18時より)。

 

 

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.067(2006年01月23日発行)」に掲載されたものです。
文= AsiaX編集部

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