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ドクター・グリーンのワンポイント医療情報

2017年12月27日

夏風邪のひとつ「ヘルパンギーナ」について

外来ではのどの痛みと高い熱を出して受診されるお子さんを診察する機会が多くあります。なかでも、発熱と口腔粘膜にできる水疱性の発疹が特徴の咽頭炎「ヘルパンギーナ」に罹患した患者さんがよく来院されます。この病気は比較的感染性の強いエンテロウイルス(腸管内で増殖するウイルス)に感染することで発症し、ほとんどの患者さんは6歳未満、最も多いのは1歳前後の乳幼児です。

 

潜伏期は3日程度で、唾液や糞便を介して感染します。突然の発熱に続いて、口腔内のおもに咽頭(喉の奥の部分)に赤い水疱状の粘膜疹が現れます。粘膜疹はやがて破れて強い痛みをともないますが、3日前後で解熱し、それにやや遅れて粘膜疹もなくなります。発熱は39度以上になる場合も多く、口腔内の疼痛(とうつう)のため不機嫌、拒食、哺乳障害、それによる脱水症などには注意が必要で、熱性けいれんをともなうこともありますが、基本的には1週間程度で治癒することが多く、予後は良好です。

 

日本では、乳幼児を中心に夏季に流行する夏風邪の代表的疾患です。しかし、常夏のシンガポールでは通年でみられ、幼稚園などを中心に流行する場合があります。乳幼児だと手洗いなどの衛生管理が困難ですが、ご家庭においては兄弟姉妹間でのスプーンやストロー、食器やタオルの共用に注意を払いましょう。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.329(2018年1月1日発行)」に掲載されたものです。

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