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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2017年11月27日

民間住宅「売買」相場が反転、「賃貸」も底打ち

民間住宅の「売買」が活況
URAから2017年第3四半期の住宅統計が発表された。民間住宅の売買指数は、過去3年9ヵ月連続で下げ続けてきたが、今回4年ぶりに反転上昇となった。「賃貸」相場も2013年第3四半期がピークで、2017年第1ならびに第2四半期が底で、3年前と比べて12.6%下落した後の底固め状況となっている。
図1の折れ線グラフは、リーマンショック後の2009年第1四半期の相場を指数100として、推移をグラフ化したものである。ピンク色は民間住宅「売買」指数、オレンジ色は民間住宅「賃貸」指数、青色はHDB(公団住宅)転売価格指数を示している。

 

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今後3年間、少ない竣工戸数
来年以降、竣工予定戸数が需要増(過去3年の平均値:年14,500戸)を大きく下回る年8,000戸程度にとどまる。これは、過去の市況が冴えず、デベロッパーの建設意欲が低調だったことによる。

 

ただし、賃貸相場の暴騰はない
今後、空室率の低下も予想されるが、シンガポール政府のエンプロイメントパス(EP)を含む雇用ビザ発給抑制方針もあり、民間住宅の賃貸需要の大きな増加は期待薄だ。
賃貸相場は売買相場と異なり、あくまで実需相場。そのため、外国人人口が増えない限り、相場急騰はあり得ない。ただし、シンガポール人の自己居住需要の増加、さらには空室状態での売却を目的とする売買向けユニットの増加(=賃貸向けユニットの相対的減少)、そしてEn Bloc Sale(一括売却)の急増による“テナント追い出し”は、賃貸向けユニットの実質的な供給減につながるので、物件のタイト感を強めていくことになる。

 

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文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO、シンガポール宅建士)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.328(2017年12月1日発行)」に掲載されたものです。

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