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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2017年11月1日

住宅相場「売買」「賃貸」 共に底打ちか?

2013年第3四半期から下げ続けてきた住宅「売買」相場が底打ち・活況を呈しつつある。同様に2013年第3四半期から下げ続けてきた住宅「賃貸」にも底堅さが感じられつつあるが、「売買」とは異なり、地域やプロジェクトによるバラツキが大きい。

 

2017年6月末までの住宅相場推移
下図で、オレンジ色の折れ線グラフは民間住宅「賃貸」指数、ピンク色は民間住宅「売買」指数、青色はHDB(公団住宅)「転売価格」指数を示している。
この図は、リーマンショック後の2009年第1四半期の相場を指数100として、推移をグラフ化したものである。

 

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住宅の空室率上昇にも頭打ち傾向
景気低迷による外国人駐在員数削減の動きに加え、本年1月からは、エンプロイメントパス発給基準が更に厳格化され、民間住宅の賃貸需要の大きな増加は期待薄だ。しかし、ここ数年間のデベロッパーの開発意欲消沈もあり、来年(2018年)以降、新築物件の竣工数が急速に細るため(下図参照)、2017年末~2018年初には、賃貸市況底打ちの可能性も出てきた。

 

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民間住宅の総需要増加を毎年約1万戸とすると、2018年以降は空室率が頭打ちになる計算となる(下のグラフ参照)。

 

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住宅のEn Bloc Sale(一括売却)急増
住宅「売買」相場の底入れを受け、デベロッパーによる開発用地取得が積極化、既存住宅の En Bloc Sale(再開発の為の一括売却)も急増している。その結果、住宅の総ストックが減少することにつながり、これも相場底固めにつながる要因である。

 

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文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO、シンガポール宅建士)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.327(2017年11月1日発行)」に掲載されたものです。

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