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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2017年8月25日

最近の住宅トレンド(1)

「行きは良い良い、帰りは怖い」ではないですが、最近、退去時に家主が鬼のように豹変し、多額のクレームを請求されたという話をよく耳にします。原因のひとつに、景況の悪化があるようです。最近の賃貸住宅市場でよくあるトラブルやトレンドをハイライトしました。


《景況が悪化すると起きること》
1.敷金の返金を渋る:

駐在員の方々が借りているコンドミニアムは、安いものでも1億円以上。人気物件になると、ゆうに2億円を超えます。特にローンで購入している家主さんにとっては、賃料の下落、ましてや空室になることは、特に元本返済を考えると、資金繰りの一大事。
家主によっては、敷金の返金額が少しでも少なくなるよう、明け渡し時に意図的に多額のクレームを提起してくる場合があります。パニックにならず、冷静・合理的に対処法を考えることが大切です。

 

2.頻繁に内見をせがむ:
次のテナントがすぐに見つからないとローン返済に窮するので、頻繁に内見をせがむケースも見られます。賃貸期間中であれば、売却のための内見をせがむことも。

 

3.税務署(IRAS)らから、家主の滞納税金の代払い請求が来る:
家主が固定資産税や所得税を滞納すると、テナントに代払いの行政命令がきます。ただし、テナントはその分を家賃支払い債務と相殺できます。異議がある場合は、指定された期限までに税務署に申し立てを行う必要があります。

 

4.抵当権者から、立ち退き要求が来る:
家主のローン債務不履行等により、抵当権者(通常は金融機関の弁護士)から居住者(含むテナント)に立ち退き要求、あるいは裁判所から退去命令がきます。最悪の場合、テナントは1週間程度以内に要転居となり、さらに敷金回収不能にもなりえます。

 

5.管理事務所から、施設の利用を制限される:
家主が管理費を滞納しているため、管理組合によっては、その間テニスコートやBBQピットの利用を制限されることもあります。

 

《最短賃貸期間が3ヵ月に》
サービスアパート、ホテル免許を取得している物件以外の住居物件(HDB含む)の最短賃貸期間が、6ヵ月から3ヵ月に短縮されました。尚、依然としてネット上で3ヵ月未満の超短期賃貸を仲介しているウェブサイトが多数ありますが、サービスアパートとホテル以外は、全て違法です。

 

《MRT Downtown Line東部区間開通》
10月21日にChinatown駅からExpo駅までの区間が新たに開通することを見込んで、モハメッド・スルタン・ロード周辺の物件や、ベンクーレン地区の比較的安価な物件の人気が上昇しています。

 

《シェア・自転車》
MRT駅から少し離れている物件では、特に欧米人のシェア・自転車利用が増えてきているようです。しかし現在の道路状況では、便利ではあるものの必ずしも安全とはいえないのではないでしょうか?

 

(次号に続く)

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO、シンガポール宅建士)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.325(2017年9月1日発行)」に掲載されたものです。

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