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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2017年6月23日

オフィス賃料:2018年後半まで「弱含み・ジリ安」続く?転居には好機

下記グラフの青の折れ線は、シンガポール中心部におけるオフィス賃貸料指数の推移、ピンクは郊外のオフィス賃貸料指数の推移、緑は両者の総合賃料指数の推移、黄色は空室率の推移をそれぞれ示しています。

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リーマンショック後の2010年第3四半期に空室率は13%にまで上昇し、総合賃貸料指数は152.3まで下がりました。これは、リーマンショック直前の2008年第2四半期の199.7と比べると24%の大幅な下げ。またこのとき、空室率は7.8%でした。

 

2010年第3四半期以降は、空室率・賃貸料相場とも徐々に改善し、2015年第1四半期には空室率は10.2%まで低下、総合賃貸料指数は190.9まで上昇しました。その後、空室率は再度上昇、総合賃貸料指数は下げに転じています。直近である2017年第1四半期時点で空室率は11.6%、総合賃貸料指数は157.3となりました。2年前の2015年第1四半期に比べ、空室率がわずか1.4%の上昇なのに対し、賃貸料は約18%も下げていることが分かります。

 

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右図は、オフィス月額賃料(平米あたり、単位Sドル)の中央値の推移です。近年の数字を見ると、セントラルエリア、周辺部ともに、2015年をピークに下落しています。ちなみに、シンガポールのオフィススペースの約4分の3はセントラルエリアに位置しています。

 

2018年頃まで大型物件の竣工が続く見通しであるため、その供給圧力から相場底入れは2019年にずれ込むかもしれません。

ただし、旧式オフィスビルの買収や取り壊しの動きが加速すれば、一時的にオフィスの総スペースの縮小に繋がり、相場の下落が鈍化する可能性があります。またシンガポールのオフィスビルの家主は、財政的に体力がある大手が多く、経営不安などから賃貸料を極端に値引きする可能性は少ないと言えます。そのためオフィス賃貸料の下落幅は、2017年通年で10%、2018年通年で5%程度に留まることも考えられます。
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文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社 CEO、シンガポール宅建士)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.323(2017年7月1日発行)」に掲載されたものです。

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