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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2017年4月25日

気象の過激化とコンドミニアム

1.洪水再び?
筆者がシンガポールに着任した1986年頃は、少しの豪雨(スコール)でも、ブキティマ運河が溢れ、いわば国道1号線に相当するブキティマ・ロードは、特にニュートン・サーカスから6thアベニューあたりまで、通行止めになる事が日常茶飯事で、近隣アパートの地下駐車場が水没することもありました。運河の大規模な拡張やバイパス水路の建設などで、冠水や洪水は過去のものとなり、今や運河の地下には地下鉄も走っています。当時は洪水リスクが嫌われたブキティマ・ロード地域も、近年はMRTが通る一等地に様変わり…と思いきや、昨今の気象の過激化で、まれではあるものの大雨による洪水や冠水が再び起きています。

 

2.屋上からの雨漏りは稀に
1990年代後半まで、最上階ユニットでは雨漏りも多く、また屋上からの太陽熱も伝わりやすいため忌避されることもありましたが、防水工事やデザインの進歩で、これらの問題はほぼ解消されました。むしろ、香港などでのトレンドの影響で、最上階には 豪華なペントハウスが造られ、プレミアム価格で売買されています。

 

3.サッシからの雨漏りも減少
かつては窓から雨が浸み込むことが多く、特に風圧のかかる高層階で頻発しましたが、サッシの品質・性能が向上したことで、最近は大変少なくなりました。

 

4.昨今の異常気象で雨漏りも?
さすがに屋上からの雨漏りは稀ですが、防水性能が劣化している外壁からの浸み込みや、バルコニーの排水口の詰まりが原因で雨水が溢れ、室内に浸入する事故が発生しています。外壁からの浸入は、見落としていると板床を腐食させたり、シロアリが発生する原因になったりと、大きな二次被害にも繋がるので要注意です。

 

5.乾季には、気温もUVも急上昇。煙霧再来の可能性も。
シンガポールもいよいよ本格的に乾季入り。猛暑でエアコンを使うことも増えるため、メンテは怠り無く行いましょう。定期点検を怠ると、重大故障が起きた際に、借主過失を問われることにもなりかねません。紫外線の影響で、カーテンの色が褪せたり、合成皮革の表面がボロボロになったりすることがあります。その場合は家主に報告しましょう。退去時に、借主が濡れ衣を着せられないよう注意が必要です。猛暑が続くと、近隣国から山火事の煙(ヘイズ)が来る可能性も高まります。

 

6.雷の頻発
異常気象により雨季・乾季を問わず、強力な雷雲が発生して落雷頻度も増え、ブレーカーが落ちることも増えます。これは住宅内部の配線や電気製品を守る為ですので、パニックに陥ってはいけません。事前にブレーカーの設置場所や復旧の仕方を再確認しておきましょう。

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO、シンガポール宅建士)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.321(2017年5月1日発行)」に掲載されたものです。

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