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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2017年4月7日

3・4月は住宅探しのラッシュ・アワー (続き)

2月末から4月末は、日本人駐在員の住宅探しのいわば「ラッシュ・アワー」です。前回に続き、この時期の住まい探しの注意点と、今年の注目点をリストアップしてみました。

 

1.郊外物件の賃貸料の下げ幅が大きい: 郊外人気の上昇に繋がる
URA(都市再開発庁)の統計によると、2016年12月末時点と2年前の2014年12月末を比較すると、Core Central Region (オーチャード、ノビーナ、ホランド、ダウンタウン、セントーサ)で7.0%、Rest of Central Region(クレメンティ~ユーノス間、Core Central Region以外)で6.8%、Outside Central Region (郊外、上記 Central Region 以外)で11.8%それぞれ下落。賃貸料そのものの価格差も考慮すると、中心部と比べ郊外物件の割安感が著しいことが分かります。
特に新築の郊外物件の場合、スクールバスがまだ通っていないところも多いので、ご注意下さい。

 

2.賃貸料の下げ幅は、コンドミニアムの人気・需給によってバラツキあり
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3.家主が賃貸を止め、売りに回してしまうケースが増加:売買ブーム再来か
昨年後半から中古物件の売買が活況になりつつあり、テナントの退去を機に賃貸をやめ、空で売りに出される物件が急増しており、その分が賃貸物件の余剰を吸収しています。その結果、空室はあるのに、賃貸空物件は意外に少ないという珍現象が起きています。各暦年後半の民間住宅の中古売買成約数を比較してみました。
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3月11日からは、政府による不動産価格抑制策の一部が緩和され、より多くの中古物件が賃貸から売買に回ることが予想されます。

 

4. 安価な物件の足はますます速く:
駐在員の住宅予算削減の動きもあって、より安価な賃貸物件の需要が増加しており、郊外の安価物件などはすぐに決まってしまう状況です。安価な物件はシェア用需要も高く、逆に月額賃料が1万ドルを超える高額物件は、特に欧米人駐在員人口の減少や住宅手当削減もあり、動きは鈍い状況です。

 

5. 一般住宅の6ヵ月未満の賃貸禁止が正式に法制化される:
シンガポール政府は、従来政令で禁止していた一般住宅の短期賃貸禁止の実効性を高めるため、法律改正が決定しました。借り手にとっては、選択肢が一時的に減り、利便性が低下しますが、一般住民との紛争を防止するとともに、正式な政府許可を得た短期賃貸物件の供給促進を図る目的があるものとみられています。

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO、シンガポール宅建士)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.320(2017年4月1日発行)」に掲載されたものです。

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