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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2016年9月20日

住宅賃貸市況:ジリ下げ続くも、来年から細る新規供給 URAの2016年第2四半期統計から読み解く

310web_Pacificnet1シンガポールのコンドミニアム総戸数推移をグラフ化しました。2016年第2四半期時点で、コンドミニアム総戸数は17万8,000戸(赤い棒グラフ)で、空室は1万8,000戸(水色の棒グラフ)、空室率は10.1%(青い折れ線グラフ)です。直近5年間の空室率は2013年第1四半期の5.4%で底打ちしたのち漸増し続け、今回二桁台に乗りました。

 

 

310web_Pacificnet2右図内のピンクの折れ線グラフは住宅の売価指数推移、赤の折れ線は賃貸指数推移です。売買相場とは異なり賃貸相場は投機的要素が少ないので、緩やかながら下降線を描きつつあります。空室率の増加と反比例して、2013年後半から売価も賃貸料も下降していることがよく分かります。

 

 

 

 

310web_Pacificnet3主要コンドミニアムの平方フィートあたり月額賃貸料推移を見ると、2年前の2014年第2四半期と比べ、コンドミニアム全体では約8%の下落となっていますが、コンドミニアムごとにバラツキがあります

 

 

 

310web_Pacificnet4右の図は、コンドミニアム以外にアパートや土地付住宅も含めた民間住宅全体での今後の新規供給見通しです(2016年第2四半期までは実績値)。紫の帯は、年間の平均需要増(約1万2,000戸)を示しています。融資規制や外国人購入者への15%課徴金賦課といったシンガポール政府の不動産価格抑制策や経済情勢の不透明感もあり、デベロッパーは新規開発意欲を失っていて、2016年の大量竣工の後、来年からは物件供給が急速に細っていく見込みです。実際には需要の増減にも左右されますが、供給が減ることにより賃貸料の下落は次の需要期である2017年春~夏あたりで底打ち・反転の可能性が出てきたのではないでしょうか。

 

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO、シンガポール宅建士)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.310(2016年9月19日発行)」に掲載されたものです。

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