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シンガポールでKANPAI!

2016年8月1日

シンガポールでKANPAI! 第5回

306web_IMG_3124今回のKANPAI人は…

佐久間 大裕 さん
柳’s Japanese Restaurant & Sake Bar
燗付師

 

-当地での活動について教えて下さい
Capitol Piazza内にある「柳’s(Ryu’s)」という日本料理店で燗付師(かんつけし)をしています。燗付師とは、料亭や飲み屋に昔いた「お燗番」という日本酒を温めるお燗のプロのことで、お客様の好みや料理などに合わせて、最適な温度でお燗(燗酒)をサービスしています。

 

-お店を始めたきっかけは?
会社が日本で神田新八という和食居酒屋を4店舗展開しています。シンガポールをはじめ海外では日本酒というと冷酒が主体で、1本ずつ燗付けをするお店もなくお燗という文化自体が認知されていません。そこで、この伝統的な飲み方を海外で広めるきっかけにしたいという考えのもと、初の海外店舗として始めました。オープンから1年が経ち、今ではお客様の8割がローカルの方となりました。いまだ冷酒が好まれるという主流はありつつも、だんだんとお燗を頼まれるお客様が増えてきています。

 

-燗酒の魅力についてお聞かせ下さい
燗付けする人によって同じ日本酒でも味に違いが出るのが奥深いところだと思います。日本酒は温度を高めにすると味にキレが出ますし、40度くらいの「ぬる燗」にすると甘さを感じやすくなります。私は日本料理のダシの旨味と合わせるため、ぬるくつけることが多いですね。また日本酒を飲み慣れた方、初心者の方など、お客様によって同じお酒でも温度を変えたりもします。「あの人のお燗が飲みたいから、あの店に行く」ということもあり得るのが燗酒の面白いところです。

 

-今後の展望は?
日本酒の伝統的な飲み方である「お燗」を、シンガポールでしっかりと根付かせていきたいですね。そのためには自分ひとりだけでなく、同業者とも連携しながらお燗のイベントなどもやっていきたいです。また、今後ほかの飲食店さんで燗付けを始めたいという際などに、現地のスタッフにレクチャーなどもできたらと思います。

 

-最後に、佐久間さんの好きなお酒と飲み方を教えて下さい
お酒は何でも好きで、ワインなどもよく飲みます。とりわけ、お店でも取り扱っている神亀酒造さんの純米酒が好きです。赤身肉のステーキと合わせて飲んだりしますよ。でも家で飲むときは燗をつけるのが億劫で、常温で飲むことが多いですね(笑)。その分、人に燗付けしてもらったお燗は本当に美味しい。人に作ってもらった料理が自分で作るより美味しく感じられるように、人につけてもらったお燗はその人の気持ちが移るような気がします。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.307(2016年8月1日発行)」に掲載されたものです。

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