シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOPタン・トックセン一家の家宝を公開展示―プラナカン博物館

アート

2008年8月4日

タン・トックセン一家の家宝を公開展示―プラナカン博物館

p01 (6)

 

 

今年4月に開館したばかりのプラナカン博物館で、シンガポールの慈善事業の歴史ではパイオニア的存在であるタン・トックセン氏の生誕210周年を記念して、その5世代目に当たるロニ―・タン氏をはじめ1,368名の子孫が保管してきたプラナカンの家宝を一挙に公開する。病院の名前ともなっているタン・トックセン氏はさまざまな慈善事業に私財を投じて、シンガポールの発展に寄与してきた。またババ(プラナカンの男性)として貴重な生活用品の数々を後世に遺しており、これらがタン一家の子孫によって博物館に集められた。

プラナカンとはマレー語で「当地で生まれた人々」を意味しており、またの名前をストレイツ・チャイニーズとも言う。その昔、中国からマレー半島近隣に移住した人々の子孫である。彼らはマレーの文化に強く影響されており、マレー人のほかオランダ、ポルトガル、イギリスなどヨーロピアンとの婚姻も多く、ユーラシアンの人々とも重なる。プラナカンの男性はババ、女性はニョニャと呼ばれている。言語はマレー語や英語、生活様式には中国とマレ、ヨロッパの融合が見られ、食べ物はスパイスやココナッツをふんだんに使った中華風マレーのニョニャ料理、そして宗教的には中国の神を祀っている家がある一方で、クリスチャンも多い。プラナカンの人々は一般的に裕福で、豊かなライフスタイルとともに、優美な生活用品や手工芸品が見られる。

11のギャラリーで融合文化の美を鑑賞

p02 (1)プラナカン博物館のギャラリーをご案内しよう。ギャラリー1ではペナン、マラッカ、そしてシンガポールに残る彼らの歴史やプラナカン・コミュニティーについての概論が説明されている。続いてギャラリー2~5では豪華なプラナカンの結婚式・披露宴に関連する展示で、ここは伝統の12日間に亘る彼らの婚礼の様子が余すところなく見られる。ギャラリー6ではニョニャが愛したビーズの工芸品、またレースや刺繍を施したケバヤ、衣装を飾ったブローチなどのアクセサリーが展示されている。数十個ものダイヤに彩られたジュエリーにはうっとり――。さてギャラリー7のテーマは「宗教」。中国の神を祀った神棚、またキリスト教の祭壇などがあり、マレーの影響を強く受けているとはいえ、信仰については意外に自由な雰囲気だったことがうかがわれる。

ギャラリー8の「パブリック・ライフ」の後はギャラリー9の「食べ物と宴会」で、ここにはニョニャ・ポーセリンと呼ばれるお皿や壺が飾られている。中国風の龍、花鳥をモチーフとしながらライム・グリーン、ピンク、水色などパステルカラーに染められた器はどことなくマレー風のやさしさがある。テーブルには箸とレンゲが並べられていると同時に銀のスプーンとフォークが使われており、またマレー式に手で食べていた人もいたという。ギャラリー10はプラナカンの人々が語る「プラナカンの伝統文化の将来」。そして最後、ギャラリー11はスペシャル・エキシビション。ここではプラナカン・アートの研究家であるピーター・リー氏による「ジャンクからジュエリーまで」の展示が見られる。

ギャラリーすべてを回ってみるとさまざまな人々、多くの文化を受け入れ、融合させてきたプラナカンは、まさに東西交易の拠点として発展してきたシンガポールのシンボル的なエスニック・グループと認識できるだろう。その豊かな文化を眺めていると、プラナカンの人々の懐の深さ、そしてリベラルなものの考え方、さらには手の込んだ工芸品や生活用品の美しさにきっと感銘を受けるに違いない。

 

 開館時間
(月曜日)13:00~19:00
(火~日)9:30~19:00
(金曜日)9:30~21:00
日本語ガイド・ツアー
(火・金)10:30~
入館料
大人:$6

39 Armenian Street 179941

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.127(2008年08月04日発行)」に掲載されたものです。
文= AsiaX編集部

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOPタン・トックセン一家の家宝を公開展示―プラナカン博物館