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2009年7月6日

高血圧・高脂血症(脂質異常症)

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中医学では、患者が訴える症状を良く聞き、その話し方、声、目線、仕草、顔色、目や耳の色艶、そして脈、舌、肌や筋肉の弾力などの具合をみて、症状の原因を探り、治療方針を決めていきます。ここに数人の高血圧症の方々が、いらしたとします。たとえ西洋医学で診断された病名が同じでも、同じ中医薬や経穴(ツボ)が、その方達に使われるとは限りません。逆に言えば、病名が違っても、原因が同じならば、同じ治療方針が施される事もあるわけです。高血圧症ですと、中医学では、のぼせ、頭痛、眩暈、吐き気、動悸、息切れ等の症状と上述したように、患者の様子を観察して得たこと(望診)、患者に触れて得たこと(触診)から原因を判断し、患者の主に訴える症状および伴う症状に治療を施します。お茶を選ぶとしたら、下記のようになります。

  1. 高血圧全般:
    決明子(ハブ)茶、杜仲茶、椎茸茶
  2. のぼせ、頭痛、眩暈、吐き気:
    龍井茶(緑茶)、菊花茶、ウーロン茶、緑茶
    菊花茶と龍井茶を合わせる……頭痛、のぼせが主な場合
    菊花茶とウーロン茶を合わせる……のぼせはひどくない、あるいはない場合
  3. 動悸、息切れ:
    菊花茶と決明子(ハブ)茶を合わせたお茶。

高血圧の原因は、体質(遺伝)、食事(塩分、脂肪)、温度(寒さ)、年齢、肥満、ストレス、性格等があげられます。家族の場合、同じ遺伝子、同じような食事、似たような生活習慣となるので、症状が出易くなります。両親が高血圧の場合60%、片親が高血圧の場合30%の割合で、子供にも現れると言われています。しかし生活習慣病である以上、食事、生活や心の持ち方で予防していけますし、症状を改善していく事ができます。

ほかに気をつけなければいけないのは、高脂血症(脂質異常症)です。高脂血症になると動脈硬化をおこし易くなり、高血圧の引き金となります。余分な脂肪を取り除き、血管という名の川を血液が滞る事なく清らかに流れるようにしておきましょう。アジアエックスWebサイトにあるバックナンバー(https://www.asiax.biz/column/self-maintenance)で、第6回の「肥満防止に効果的なお茶」も参照して下さい。油を使った料理を頂く時にはプーアル茶、ウーロン茶(特に凍頂ウーロン茶)、杜仲茶を飲むことをお薦めします。

肥満防止は糖尿病、心臓病、動脈硬化、腎臓病、肝臓病、腰痛、膝痛、生理機能の滞り等、各種の予防につながっていきますので、ご一読下さい。

高脂血症の予防と改善、血液の流れを促すお茶を以下に挙げます。

  1. 生姜紅茶1杯に、 大棗1こを入れる。蓋をして3~5分後に飲む。
  2. 冷え症がある人向け:生姜紅茶 1杯に、粉末シナモンを好みに合わせて入れる。
  3. 茉莉花茶、バラの花茶、ライチ茶、緑牡丹茶、緑茶

冷え症の方は、緑茶は控えて下さい。また、どのお茶も温かいものでお飲み下さい。

文=島田久仁子(Kuniko TCM & Healthcare 中医師)

1991年来星。針灸師の教育を受け、診療所に勤務。「天気ヘルス」を設立し、太極拳、気功、骨格運動、家庭の中医学等、自己の治癒力を高める指導を始める。当地の厚生省による中医師及び針灸師国家試験制度の実施にあたり、新加波中医学院にて6年修業。国家試験を経て中医師及び針灸師として認定登録。新加波中医師公会会員。恩師曹光裕博士に師事。中華医院所属。現在「天気ヘルス」を「Kuniko TCM & Healthcare」と改め、上記の指導に加え健康相談及び治療を行っている。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.148(2009年07月06日発行)」に掲載されたものです。

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