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2013年11月4日

【第2回】正しい資産運用を行うための4つのステップ

資産運用を行うために、まず何から始めたらよいのか?

第1回のコラムでお話したとおり、今や「資産運用をしないことがリスク」となる時代になってきています。それでは、正しく資産運用を行うためには、まず何から始めたらよいのでしょうか?

それには、『4つのステップ』というものがあります。そして、この4つのステップを一つ一つしっかり踏んでいくことが、正しく資産運用を行うためのポイントとなってきます。

正しい資産運用を行うための4つのステップ

正しい資産運用を行うために必要な4つのステップ。それは、「人生設計」・「アセットアロケーション」・「銘柄選択」・「投資タイミング」の4つです。

それでは一つずつ簡単にご説明しましょう。

【ステップ1】人生設計

まず1つ目のステップは、自分自身の『人生設計』を行うことです。

“そもそも資産運用とは、何のために行うものなのでしょうか?”

人にはそれぞれ、人生の夢や目標、送りたい人生があり、それを叶えるという『目的』を達成させていくために、「必要なお金」を「必要なとき」に準備しておく必要があり、そのために資産を作っていかなければなりません。

資産運用というものは、あくまでそれらの「目的」を叶えるための「手段」でしかありません。そして、その「目的」が明確でなければ、「手段」も適切に効率よく講じることが難しくなります。

例えば、「5,000万円」より「1億円」を貯める方が、確実にリスクを大きく取らなければならず、達成可能性も低くなります。

仮に、もし、あなたの老後必要な資金が「5,000万円」で足りるにも関わらず、人生設計を曖昧にした結果、「とりあえず1億円目指そう」と誤った目標設定をしてしまったとしたら、あなたは不要なリスクを負わなければならなくなってしまうことになります。

資産運用を行うにあたっては、不要なリスクは取る必要なんてありませんし、「必要な資金」を作るために、「必要なリスク」を取って、効率的に資産を形成していくべきものなのです。

ですので、まずは、自分自身の人生設計(目的)を具体的な数字を用いながら明確にし、それを叶えるために資産運用(手段)を用いて、必要な資産を形成していくことが大切になります。

“どんな人生を送りたいのか?”
“いつまでに、いくら必要なのか?”

これらについて、ぜひ一度真剣に考え、ご自身の人生設計をノートに書き出してみましょう。

【ステップ2】アセットアロケーション

2つ目のステップは、アセットアロケーションを行うことです。アセットアロケーションとは、「資産配分」のことを言います。

アメリカの資産運用会社バンガード社の調査によれば、資産運用の成果の約8割はこのアセットアロケーション(資産配分)によって決まるとされています。資産運用を行う上で、このアセットアロケーションはそれほど重要な要素であるということです。

このステップ2を簡単に言い換えると、

「どの資産に、どれだけ投資をするか、配分を決めましょう!」

ということになります。

「どの資産に」というのは、『国内の株式・債券』・『海外の株式・債券』・『金などのコモディティ』・『現金・預金などの流動性資産』のどれに投資をするのか、ということを指します。

また、「どれだけ投資をするか」というのは、先に挙げた資産にどの比率で投資するのか、ということを指します。

参考までに標準的なアセットアロケーション比率を以下に示しておきます。

<標準的なアセットアロケーション>
  • 国内株式:30%
  • 国内債券:10%
  • 海外株式:20%
  • 海外債券:20%
  • 流動性資産:20%

ただし、上記はあくまで参考程度にしてください。「どれだけ投資をするか」というアセットアロケーション(資産配分)の比率には、正解はありません。なぜなら、人それぞれの資産状況や人生設計によってとるべきリスクが異なるからです。しかし、標準的なアセットアロケーション比率を知っておくことで、自身のアセットアロケーション比率を決定・調整していく上で有用ですので、ぜひ覚えておいてください。

また、資産の80%を投資に回すことに不安を覚える方もいると思いますが、投資対象には流動性が高いものや、リスクが極めて低いものが存在します。ですので、すぐに換金できたり、安全性の高い資産から始めたりすることができますし、資産の80%未満を投資に回すことも当然選択肢としてあり得ます。

なお、アセットアロケーションをいきなり完璧にしようと考える必要はありません。例えば、一年かけて少しずつ自身の流動性資産を他の投資対象へ移していくくらいの感覚で良いでしょう。

【ステップ3】銘柄選択

銘柄選択とは、「どの株式や債券などに投資するか、その銘柄を選ぶこと」を言います。多くの個人投資家は、ステップ1〜2を飛ばして、このステップ3の銘柄選択から始めて資産運用に失敗してしまいます。

なお、銘柄選択は、「個別銘柄に投資するとき」のみに必要となるステップとなります。ですので、投資信託などを始めとする「ファンドマネージャーなどの資産運用のプロに資産運用自体を依頼する金融商品などの場合には、不要なステップです。

ただし、その代わりに、そのファンドマネージャーなどのプロや金融商品の特徴をしっかり把握し、自身の人生設計に合った金融商品なのかを分析し、自身で判断することが必要になります。

【ステップ4】投資タイミング

投資タイミングとは、「投資対象の買い時・売り時のタイミングを図ること」を言います。いわゆる投資の基本は、「安く買って、高く売ること」です。しかし、多くの個人投資家は、投資タイミングを誤って高値掴みになり、「高く買って、安く売る」という結果になりがちです。

投資タイミングは、プロの投資家でも難しいものになりますが、これを回避する方法があります。それは、「積立投資」です。積立投資、つまり、毎月決まった金額を積立で投資を行うことで、高いときには少しの口数しか購入せず、安いときには多くの口数を購入することができます。

この手法は、「ドルコスト平均法」とも言われ、資産を上手に形成する個人投資家の多くがこの手法を採用しています。これによって、投資対象の購入価格を平準化することができ、「高く買って、安く売る」という高値掴みを回避することができます。

余談ですが、かの有名なリーマン・ショックで多くの個人投資家が資産を大きく減らしました。そして、未だに世界の市場はリーマン・ショック前まで回復していません。しかし、リーマン・ショック前からリーマン・ショック後の今までずっと継続して積立投資をしている投資家の多くは、すでに「リーマン・ショック前よりも資産を増やしている」という状態になっています。

このことからも、投資タイミングのリスクを回避する「積立投資=ドルコスト平均法」の有効性を知ることができると思います。

資産運用を始めるために、次に必要なこととは?

「人生設計」・「アセットアロケーション」・「銘柄選択」・「投資タイミング」という4つのステップは、正しい資産運用を行う上で基本となる考え方になります。これらのステップを踏み外さないように、一つ一つしっかりと実行していってください。

まずは、これを良い機会にして、あなた自身の「人生設計」をぜひ行ってください。

そして、その次の段階として、それぞれのステップに必要な資産運用方法・知識・情報を得ていくことが必要になってきます。それら必要なものを一つ一つしっかり学び、実践していくことで、あなたは自分の力で資産運用をすることができるようになります。

mikataaプロフィール

三方 麻琴(Mikata Makoto)

M&R Partners Pte. Ltd. Managing Director

– Official site: http://mikatamakoto.jp

– Official blog: http://mikatamakoto.jp/blog.html

– Official mail magazine: http://mikatamakoto.jp/mailmaga.html

※この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.245(2013年11月04日発行)」に書ききれなかった内容・補足をご紹介しています。

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