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シンガポールモザイク

2012年9月17日

趣味が高じてできた「ユニーク・ミュージアム三選」

シンガポールにも、国立などの大きな博物館とはひと味違うユニークなミュージアムが実はたくさんあります。今回は、個人の趣味がきっかけでミュージアムに“なってしまった”、ちょっとユニークなミュージアムをご紹介。あなたのお宝もミュージアムに変身する日が来る、かも?!

 

あらゆる種類の亀をコレクション
The Live Turtle and Tortoise Museum

 

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出張先などで見つけた亀グッズを収集していた父と、亀をペットとして飼い始めた娘。亀グッズの数も、ペットの亀の数も年々増え、ついに2001年にミュージアムとしてオープン。1,000以上の生きた亀と、2,500近い亀グッズを展示する「世界最大の亀コレクション」として、2005年にギネスブックにも登録されたことがエントランスにも記されています(写真①)。このミュージアムがあるのは、ジュロン地区のチャイニーズ・ガーデン内。オーナーは、冒頭で紹介したかつての亀好き少女、コニー・タン(Connie Tan)さんです。中華系の人々の間で縁起の良いものとされる亀は、シンガポールでもペットとして人気があります。

 

ミュージアム内の庭に出ると、甲羅の長さが1メートル近くあるケヅメリクガメの姿が。体は大きくても草食で性格は穏やかです(写真②)。水槽がいくつも並んだ棚には、名前の通り甲羅が平らなアフリカ原産のパンケーキ・タートルや、体全体がデコボコと岩石のような南米原産のマタマタ、長い首を持つオーストラリア原産のスネーク・ネック・タートルなど、世界中の珍しい種類の亀が展示されています。

 

庭の真ん中にある池にもたくさんの亀が暮らしています。コニーさんが橋の上に来ると、エサを求めて亀たちが集まってきて大騒ぎ(写真③)。池の中にばかりエサを捲いていると、いつの間にか足元に来ていた亀が「ぼくにもちょうだい」と言わんばかりに彼女の足をトントン。自分が子供の頃に味わった、亀と触れ合う楽しさを今の子供たちにも体験してもらいたい、というのがコニーさんの願い。

 

父親が第一線を引いてからもコニーさんが引き続き集めている亀グッズの数は、今や5,000以上。「もう、数えきれません(笑)」。

 

The Live Turtle and Tortoise Museum

1 Chinese Garden Road S619795(MRTチャイニーズ・ガーデン駅より徒歩5分、正面から入ってすぐ右手)

開館時間:毎日9:00〜18:00

入場料:S$5

おもちゃとともに思い出がよみがえる
Children Little Museum

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アラブ・ストリートにほど近いブッソーラ・ストリートをサルタン・モスクに向かって歩いていると、ある店先に人の背丈ほどの大きなロボットが(写真①)。パトリック・ネオ(Patrick Neo)さん(写真②)ら古物コレクターが自分達のコレクションを持ち寄って2004年に作ったChildren Little Museumです。

 

ミュージアムに展示されているのは、アメリカやヨーロッパ、日本、中国、東南アジア各国など、さまざまな国のおもちゃ。すべてシンガポール国内で収集されたものです。19世紀にラッフルズ卿が自由港として建設して以来貿易が盛んなシンガポールには、おもちゃも世界中から集まってきたというわけです。80年ものの三輪車や、古い本屋の棚、昔のジュース・スタンドなどノスタルジックな空間の中に所狭しと並ぶおもちゃ。ひとつひとつ丹念に眺めて、何時間も過ごす人もいるそうです。

 

パトリックさんは、元々趣味で集めていたコーヒーカップを探して骨董屋などを回っているうちに、ついでに見かけたおもちゃを集め始めたそう。気付けばおもちゃのコレクションが膨大になっていました。「ここにあるおもちゃは、高値が付くようなものではありません。でも、特に30代後半以上の世代のシンガポール人にとっては、まさに子供の頃に遊んでいた懐かしいおもちゃばかりなんです」。

 

たくさんのおもちゃが並んだ大きな棚(写真③)の前で、父親や母親が、子供の頃どんな遊びをしていたかを我が子に熱心に語る姿も。おもちゃの魅力は時代も文化も越えられることが、実感できます。

 

Children Little Museum

40 Bussorah Street S199460

電話:6298-2713

開館時間:毎日10:30〜20:00

入場料:S$2

きっかけは自分のルーツ・プラナカン文化への探求心
The Intan

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15世紀から19世紀にかけてマレー半島やインドネシアへ移り住んだ中華系移民と他の民族との混血の末裔はプラナカンと呼ばれ、独特の文化を持っています。シンガポールでプラナカンの人々が多く住んでいるのがジューチャットおよびカトン地区。その住宅街の中に、プラナカンのものばかりを集めた小さなミュージアムがあります。

 

玄関から入ってまず目にするのが大きな祭壇。お供えのお菓子の入れ物(写真①)のビーズ細工などにもプラナカンらしさが見られます。階段を上がって2階に行くと、プラナカン女性の衣服・サロンクバヤや、バッグ、サンダル、煌びやかな装飾品、食器などがずらりと並んでいます。

 

オーナーのアルビン・ヤップ(Alvin Yapp)さんは、マラッカからやって来たプラナカンの7代目。ある日、祖父がよく座っていたものにそっくりな安楽椅子(写真②)を見かけて購入、それがきっかけで自分のルーツについてもっと知りたいと思うようになり、アンティークものを中心にコレクションを増やしていきました。自宅で友人などに見せているうちに、「ミュージアムとして公開しては」となり、2003年にThe Intan(マレー語でローズカット・ダイヤモンドの意)をオープンしました。

 

ミュージアムは、アルビンさんの両親も含め、5人のボランティアによって運営されています。見学は完全予約制。日中はアルビンさん達のガイド付き見学と手作りのプラナカン菓子のティーセット(写真③)が楽しめます。夜はアルビンさんのお母さんが作るプラナカン料理のディナーもアレンジ可。優雅なプラナカンの暮らしぶりを見るだけでなく食と共に体験できるのもユニークです。

 

The Intan

※見学は完全予約制。場所、開館時間については直接お問い合わせください。
ティーセット付きは1人S$45(6名以上)、ディナー付きは1人S$99(20名以上)で要予約

電話:6440-1148

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.220(2012年09月17日発行)」に掲載されたものです。
文= AsiaX編集部

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