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熱帯綺羅

2019年8月26日

瞑想からクリスタルまで 世代を超えて生活に根付く『氣』

  早朝の公園などで見かける、ゆったりとした動きをしている人々。気功と呼ばれる目に見えない体の中のエネルギー『氣』を整える中国古来からの健康法です。今日でも広く一般的に親しまれている、心身のバランスをとる伝統的な技術で、シンガポールではこの『氣』が文化・生活の一部として強く根付いています。

 

高齢者に人気の気功

 イーストコーストパーク、ボタニックガーデンなどいたるところで気功をする人たちを見かけますが、最近は“刀気功”なる、長刀を使った42の異なるステップを行う気功が人気だとか。中国山東省から定期的にシンガポールを訪れて指導している、呂希唐(リュー・シータン)師匠は「高齢になると42の異なるステップを覚えることは難しくなるけれど、頭の体操にもなり、なによりやり甲斐が出てきます。健康のために気功を始める人が多いです」と語り、無料で気功の試技の実践の仕方や知識を地域の老人たちにシェアしています。「この歳で膝を深く曲げたり、歩いたり、健康でいられるのは、気功のおかげ。若者のように早く動けないし覚えも遅いけれど、師匠は大変忍耐強く教えてくれます」とリュー師匠を慕う76歳のある生徒さんは言います。
 
早朝川辺で気功のクラス

音で氣を整える瞑想法が人気

 ヨガは呼吸、姿勢、瞑想を組み合わせて心身の緊張をほぐし、心の安定とやすらぎを得るインド古来の健康法。最近はシンギングボウルを用いて瞑想に特化する『サウンド・ヒーリング瞑想』が人気です。チベット密教伝統の法具、ボウルの縁を木の棒でこすると鳴り響く低音の音で瞑想。音にヒーリング効果があり、氣の調和を取ると言われています。シンギングボウルの歴史は古く、ブッダ生誕以前からとも。チベット密教の拡大と共に、ネパール、ブータン、インド、チベットを中心にミャンマー、インド、中国へ広がっていきました。「サウンド・ヒーリング瞑想は12世紀から始まりました」と語るのは、Heart of Polaris主宰でこの瞑想法を長年推奨しているSherley Tay(シャーリー・テイ)さん。「2016年の米カリフォルニア大学の研究では、この瞑想法でストレス、怒り、鬱などを軽減する結果が科学的に証明されました。10代の若者、社会人からリタイアした人まで、この瞑想をする人の年代は幅広いです(テイ氏)」といい、当地でもマイ・シンギングボウルを使用する人が増えているようです。

 

「サウンド・ヒーリング瞑想」で使うシンキングボウル

「シンギングボウル瞑想」クラスの様子

内なる幸せのためのパワーストーンとクリスタル

 中華系国民が半数以上を占めるシンガポールでは、風水を基に多くの建造物がデザインされています。風水は「氣」を環境と調和させるために建物・物の方位を決める開運マニュアルのようなもの。マリーナベイ地区にあるマーライオンは、シンガポールに侵入する悪い氣から国を守ってくれる存在としても有名です。一方パワーストーンやクリスタルは、自分の中にある氣のバランスをとる効果があると言われ、様々な種類やサイズがあり、中華系のみならず多国籍大企業のオフィスにも置かれています。

 

シンガポールを悪い「氣」から守ってくれるマーライオン

 

 「20世紀初頭に登場した鉱石(クリスタル)ラジオにみてもわかるようにクリスタルには高い周波数があります。周辺に置いたり身につけることで、人の持つエネルギーと共鳴して波動を高める力があると信じられています」と語るのは、クリスタル・パワーストーン収集家歴2年、劇作家のDes Sim(デス・シム)さん。「エネルギーがポジティブであれば人生をエンジョイできる。クリスタルを持ちながら瞑想したり、願望達成のリマインドに使う人も。最近は若い世代のコレクターが増えてきています」(シム氏)。

 

Tamza House of Crystal & Lifestyleの店内
 
 
 
 
 
 
 
 

内なる幸せに近づくために

 
 
 
 
 
 
 
 

パワーストーンは配置によっても働き方が異なる

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 パワーストーンについて『Tamza House of Crystal & Lifestyle』のKheyton(ケイトン)氏に話を伺ったところ、シンガポールのクリスタルやパワーストーン市場は、80~90年代の高度成長期以降、拡大傾向にあることがわかりました。

 仕事、恋愛、お金の悩みなど相談に来る客の聞き役、心のお医者さんのような役割をしているケイトン氏。石を選別する上で重要なのが”「自分の氣の状態(心の状態)を正しく認識する」ことだと言います。例えば客が寝不足やストレス解消目的で石を求めたものの、本当は仕事での人間関係が原因だった、というケースも。日々の忙しさやストレスの中で真因に気づかないことも意外に多く、パワーストーンは配置によっても働き方が異なるが自分の氣(心の状態)と向き合うきっかけになるようです。「購入者は宗教的に自由なスタンスを取る傾向にある僕のような若い世代が多く、スピリチュアリティを自分で磨くことに関心があるようです」。また興味深いのが「最初は金運上昇のために来店した人が、次第にお金ではなく、内なる幸せに効果があるストーンを求めるようになる」(ケイトン氏)とか。

 ケイトンさんの祖父母世代では「日々の祈りを欠かさない」宗教的行動規範に沿って暮らすのが、今より一般的だったといいます。一方でケイトンさんのような現代の若者は、宗教に基づいた考え方、行動規範に完全に従うことから距離を置く傾向も。新旧世代の生活への取り入れ方は異なるものの、シンガポールの人々にとって『氣』はそれぞれの幸せにリーチし、健康な心と体を保つために今でも欠かせないもののようです。

(取材・文/舞スーリ)

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