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熱帯綺羅

2019年5月25日

始まる!グレート・シンガポール・セール

シンガポール商戦の今後の行方

 待ちに待ったこの季節、そう、グレート・シンガポール・セール(GSS)がもうすぐ始まります。今年は、6月21日~7月28日の5週間強。期間中は、定価から最大70%オフにもなるお得な商品もあるとか。今から、お目当ての商品をチェックしにウインドウショッピングを楽しんでみてはいかがでしょう。その前にこのセール、いつから始まったの?実際、経済効果はあるの?そんなシンガポールのショッピング事情に迫ってみました。
 

今年もGSSに先駆けてセールスタート 高島屋シンガポール

 


昨年秋に開催し、大きな賑わいを見せた体験型の食イベント「Japan Food Matsuri」

 

GSSって何で始まったの?

 GSSは1994年にシンガポール観光促進委員会(現STB、シンガポール政府観光局)が企画し、観光客をメインターゲットとし、オーチャード・ロードを中心に4週間、展開されたのが始まりです。当時、GSSは大きな取引や割引を提供する「唯一のセール」として、「グレート・シンガポール・セール」と名づけられました。1998年からは、STBのサポートのもとシンガポール小売業協会(SRA)が主催者として実施、オーチャード・ロード以外のエリアでも展開されていきます。
 
 2004年頃には経済成長とともに国内の消費活動が高まり、観光客の往来が活発になる6月のスクールホリデー直前の金曜から8週間実施し、小売売上高が前年比15%増という高成長を見せた年もありました。このようにして、GSSはショッピングモールに限らず、飲食店、美容・ヘルス関連店や観光スポット、また現地ツアーにも拡大し、観光客のみならずシンガポール在住者のライフスタイルイベントとして広がりを見せるようになります。しかし、GSSの売り上げは電子商取引(EC)の普及などを背景に、2014年から3年連続で減少します。そこで、2017年に公式アプリ「ゴースプリー(GoSpree)」を導入、GPSを活用し、店舗の近くにいる人だけに電子クーポンや単発のセール情報を送るなど、スマホ世代への訴求を図りました。結果、アプリはGSS期間中に32,000回以上ダウンロードされ、アプリを通じて、約200の参加ブランドが独占オファーや割引を開始、小売売上高は前年度を上回りました。
 
 2018年7月の小売業販売額は推定37億Sドル(約3,036億円)で、前年同月比2.6%の減少。自動車を除いた小売業販売額は0.2%の微増でした。OCBC銀行のエコノミスト、セレーナ・リン氏は、「7月の販売額は7月単月の実績では2013年以来の少なさ。小売市場は明るい兆しが見えない。6月~8月実施のグレート・シンガポール・セールは消費刺激効果が衰えていることを示している」とコメントしました。
 
 2018年の外国人来訪客数は前年比6.2%増の1,850万人を超え、3年連続で過去最高を更新(STB、2019年2月発表)。観光客数の増加は、6月の米朝首脳会談や映画『クレイジー・リッチ・アジアンズ』のヒットなどが要因とみられ、STBのキース・タン長官は「米国では”シンガポール”の検索が200万を超えた」と、同国が世界的に注目を浴びた事例を紹介し、「シンガポールの市場価値を大きく高めた」と強調しました。ちなみに映画上映期間中、米国でのシンガポールに関する検索数は通常の3倍以上増えたそうです。
 
 しかし外国人観光客数の増加の伸びと比べると、観光収入は伸び悩みました。2018年の観光収入(速報値)は前年比1.0%増の271億Sドル(約2兆2,230万円)と過去最高を更新するも、2017年の3.9%増から増加幅が縮小しました。また、2018年1~9月の観光収入の中で買い物収入は14.2%減。毎年恒例のGSSが、観光客の消費に重要な役割を果たしてきたことは事実でしょうが、もはや、企画された当初の位置づけではなくなっていることもまた事実のようです。
 

ラグジュアリーブランドがひしめいているオーチャード ロードのシンボル的なION

 


GSSの主戦場、オーチャードロード。期間中は人であふれている

 


こちらももちろん参戦 ザ・ショップス・アット・マリーナ・ ベイ・サンズ
 

もう、安いだけじゃ物足りない、GSS

 
 シンガポールに出店して26年、海外進出している日系百貨店の多くが赤字で苦しむ中、グループ連結営業利益への貢献度も高く、稼ぐ海外店舗として名高い高島屋シンガポール。ジェネラルマネジャー澁谷裕子氏に、その成功のカギを伺ってみました。
 
 「シンガポール店来場の75%がシンガポール、残り25%のうち、3割がインドネシア、3割が中国からです。この国のラグジュアリーブランドショップは、近隣の国々のショーケース的な位置づけであり、オーチャードには世界中から高級ブランドの店舗が軒を連ねています」と澁谷氏。近隣諸国から富裕層が何度も来星し、ビジネスのついでに、友人に会うついでに、メディカルチェックを受けるついでに買い物をしているのだとか。
 
 「もちろん富裕層の購買額が売上に大きく影響していますが、それよりも、当店では地元のお客様の生活ニーズに合ったショッピングシーンを作っています。セールは他にも年に数回実施、クリスマス前、旧正月前が一年中で、最も物が売れる時期。GSSよりも売れていますね。最近では、ブラックフライデー(11月の感謝祭翌日)はかなり盛り上がっていて、ここ数年は、他店もGSSの期間は気にせずにセールを前倒ししているようです。シンガポールの方は歳時を大切にするようで、暦上でも建国記念日、中秋月と、一年中催事があり、ショッピングシーンはいつも賑わっています。GSSもそんな歳時のうちのひとつになりつつあるのでは。また、地元の方はお得感が大好きです。単に安いだけじゃお客様は買ってくださらない。体験型売り場や、ライフスタイルの提案をしていくことが必須です(澁谷氏)」。
 
 もはやGSSは、ただ期間を決めてセールのボリューム感を集中しているだけでは盛り上がりにくくなってきているようです。単にモノが安く手に入るだけでは観光誘因、購買促進の効果も見込めなくなってきていることも確か。時代や購買層の体験やサービス、利便性などの価値を提供する事が求められているのです。チャンギ空港にジュエルがオープンし、巨大な滝が話題にはなっていますが、はてさて、GSSの今後の行方はいかに。
 
 なにはともあれ、安ければ、ついつい買いすぎちゃう楽しいショッピング。それが少しでもこの国の経済効果になるのでは……と言い訳には好都合、いざ、グレート・シンガポール・セールへレッツゴー。

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