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熱帯綺羅

2017年9月26日

新たなファン層の開拓へ、進化し続けるシンガポール・ターフ・クラブ

オンラインでの馬券購入が解禁
若者や家族連れにもアピールを

一見すると、2013年当時からあまり変わっていないようにも見えるこの競馬場、実はさまざまなところで新しい取り組みが行われています。具体的には、2015年に自動券売機が導入されたこと、また2016年にターフ・クラブがシンガポール内務省からオンライン賭博の免許を取得したことで、一般の人がインターネットを通じて馬券を買えるようになったことなどが挙げられます。オンライン賭博を完全に禁止することが、逆に賭博のアンダーグラウンド化につながるとの懸念から、例外的にサッカー賭博や競馬などに限り、オンラインで馬券を購入することが認められました。ターフ・クラブの担当者によると、近年の不景気の影響もあってか、現在の入場者数は1日あたり約7千~1万人と伸び悩んでいるそうです。よってオンラインでの馬券購入を通じた、客層の拡大が期待されています。

 

一方、来場者を増やす試みも行われています。現在、競馬場を訪れる人の多くは中高年男性なのが現状。ターフ・クラブでは、「競馬=中高年男性のためのギャンブル」というイメージを払拭し、競馬場を若者や家族連れでも楽しめる場所にすべく、レースの日に合わせてコンサートを開催するなど、よりエンターテイメント色を高めるための工夫をしています。

 

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スクリーンの前に集まる来場者たち。
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レース当日に開催されているコンサートの様子。

 

このほか2014年には新しい厩舎が完成し、設備も新しくなりました。現在では約1,300頭の馬がおり、一般向けの見学ツアーも行われています。馬に直接触れられることなどから、観光客からも人気があるのだとか。さらに2019年からは、新たに2種類の国際レースがスタートする見通しであるなど、ターフ・クラブは海外のファンも増やしながらレース内容をさらに充実させる方針を掲げています。

 

新たなファン層を開拓し、シンガポールの競馬界をこれまで以上に盛り上げるべく、改革に向けたさまざまな取り組みを続けるターフ・クラブ。クランジの競馬場は、今後の変化が楽しみなスポットのひとつと言えるのではないでしょうか。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.326(2017年10月1日発行)」に掲載されたものです。取材・写真: 佐伯 英良

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