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熱帯綺羅

2017年6月23日

世界最小の“ドレイン(下水溝)キャット”「シンガプーラ」をめぐる不思議な物語

繁殖の難しさや検疫の厳しさなどから
故郷であるシンガポールには1頭のみ

アメリカで話題になったこの猫の存在をシンガポール政府も放ってはおきませんでした。1991年に当時のシンガポール観光局(STPB: the Singapore Tourist Promotion Board)が「living national monument(生きる国碑)」としてマスコットに採用すると、シンガプーラはまたたく間に店頭の観光ポスターやTシャツ、カップといった土産物のアイテムなどに登場。生まれ故郷でも脚光を浴びることになります。

 

マリーナベイ地区にある名門ホテル、フラトンホテルシンガポールの前に架かるカベナ橋のたもとには、親猫と戯れる子猫の像がありますが、これは当時、シンガポール観光局がキャンペーンの一環としてシンガプーラをモデルに造ったもの。当初は15体設置されましたが、盗難などにより今は3体しか残っていないとのことです。

 

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シンガポール川のカベナ橋のたもとにあるシンガプーラ像

 

実のところ、2006年のある調査でシンガプーラの頭数は世界に5000頭前後と発表されていますが、その後の推移は定かでなく、ここシンガポールでも認定されているシンガプーラは現在1頭しかいないといいます。その飼い主であるチャング・ローさんのもとを訪れてみました。

 

「実は、うちには今年2月にフランスから輸入したシンガプーラのほかに、もう1頭の“シンガプーラ”がいます。ヌガーと名付けたこの猫をベドック界隈で偶然見つけた時は、本当にびっくりしました。野良猫だったヌガーとシンガプーラの見た目がそっくりだったからです。それだけにシンガプーラが自然種であるというメドウ夫妻の話には信憑性を感じますね」とチャングさん。ブリーダーでもある彼は今後、故郷であるこの国でたくさんのシンガプーラが育つことを願っているといいます。

 

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「人と猫が暮らす環境作りにも努力したい」と語るチャングさん
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地元猫だった雌のヌガーちゃん(左)と血統付きの雄のシンガプーラ・ムーンウォーカー君(右)

シンガポールのドレイン(下水溝)から登場し、時には歴史の表舞台に立ちながら、国境をまたいで今も多くの人々を魅了し続ける世界最小の猫・シンガプーラ。明日の朝、少し足をのばして街中を散歩してみたら、この“小さな妖精”があなたの姿をドレインの隙間から覗いているかもしれません。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.323(2017年7月1日発行)」に掲載されたものです。取材・写真: 宮崎 千裕

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