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熱帯綺羅

2017年3月6日

最新テクノロジーを活用した シンガポールの博物館教育

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スクールツアーに参加中の日本人小学校チャンギ校生徒の皆さん。ボランティアガイドの説明を熱心に聞いていた。

 

博物館教育の最先端はあらゆる技術を集結

2016年12月、ナショナル・ミュージアムに日本のウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」の「Story of the Forest」がオープンしました。この展示はシンガポール建国時に統治を行ったウィリアム・ファーカーが、動植物の生態記録の為に中国人画家に書かせた「ファーカー・コレクション」を元に制作されています。鑑賞者は美しい展示を眺めながら、建国時にファーカーが実際に見た風景を疑似体験します。そして無料ダウンロードができるアプリでその生態系の詳細を知ることができます。「Story of the Forest」がオープンする前にも、シンガポール博物館にはファーカー・コレクションのコーナーはありました。「Story of the Forest」が完成したことで鑑賞者は単なる鑑賞から、最新技術を使った「疑似体験との行き来」を経験することができるようになりました。シンガポールが目指す、新しい博物館教育のモデルケースの1つが完成したといえます。

 

展示に関わったチームラボ・アジア地域担当ディレクターの竹井卓哉さんは「この作品の中に身体ごと没入する体験を通して、この国の歴史や自然に興味を持ってもらえたら嬉しい」と話しています。

全ての人が楽しめる博物館教育を目指して

ナショナル・ミュージアムをはじめシンガポールの博物館では、公用語であるマレー語、標準中国語、英語、タミール語の4言語のほか、日本語、韓国語などさまざまな言語のパンフレット、またはガイドツアーがあります。

 

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チームラボのアジア地域担当ディレクターの竹井さん。
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ナショナル・ミュージアムの日本語ボランティアガイドの皆さん。通常ガイドは平日10時半から実施。

観光産業が主要産業であるシンガポールは「あらゆる国の人が展示を楽しんでほしい」という考えを博物館教育の原点にしています。また、この国の歴史、文化、芸術が国内だけに止まらずアジア全体、世界全体とどのように関わってきたかを分かりやすく展示することが、子供達を始め博物館を訪れる全ての人の交流・相互理解に繋がると考えています。こうした姿勢からは、日本も見習うべきところがあるのではないでしょうか。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.319(2017年3月6日発行)」に掲載されたものです。取材・写真:森迫 紀子、撮影協力:シンガポール日本人学校小学部 チャンギ校、シンガポールミュージアム日本語ガイドグループ

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