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熱帯綺羅

2017年1月23日

「魚生」で祝う、シンガポールの旧正月

周りが汚れるほど幸運に

食べる時は、皆が一斉に立ち上がり「ローヘイ!ローヘイ!」と言いながら、箸で具材をかき混ぜながら高くすくい上げ、その年の願い事を言ったあとで賑やかにいただきます。みんなが同時に箸でかき混ぜるため場が一気に盛り上がり、お皿のまわりは飛び散った野菜や粉でいっぱいになりますが、周りが汚れるほど幸運になるとされています。

 

「ローヘイ」という言葉は漢字で「撈起」と表記しますが、これは「すくい上げる」という意味の広東語。箸で野菜や生魚をすくいあげる動作は、魚を釣り上げる動作に例えられ、「たくさん釣り上げる=大漁=お金に恵まれる」という意味があります。

 

金融業界で働くレイチェル・テオさんに旧正月の過ごし方について伺ってみると、「家で親族が集まるときは、魚生はもちろんのこと、お鍋を囲みながら近況報告や新年の抱負に関する話で盛り上がります」とのこと。魚生はやはり欠かせない料理のようです。

 

親戚一同が会することの多いシンガポールの旧正月。魚生を囲んで盛り上がることも多い
一斉に具材を持ち上げ「ローヘイ!」と叫ぶ

 

魚生の近年のトレンド

魚生による新年の験担ぎは、今ではシンガポールの旧正月では定番の行事といえます。魚生は、今から数十年ほど前にシンガポールで働いていた中国本土の料理人達が考案したとされています。縁起の良い食材を集め、見た目も美しく旧正月に相応しいひと皿を生み出した料理人の想いが、今もシンガポールでは引き継がれ大切にされています。

 

最近では、スーパーで販売されている「魚生セット」を自宅やオフィスで食べることも増えてきたようです。また最近のトレンドについて、魚生の人気店「四川飯店」で広報を担当するマリエ・ゴーさんによると、揚げたサーモンの皮をトッピングするのが人気だそうです。また富裕層の間では、ロブスターや牡蠣を使った豪勢な魚生が人気なのだとか。

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スーパーで売られている魚生

家族や親戚が大勢集まって過ごす旧正月に、みんなで大皿を囲んで一斉にお箸を持ち上げて「ローヘイ!」と叫ぶことで、「今年もいいことがありそう」と気持ちを新たにすることができそうです。シンガポールの文化をより深く知るためにも、今年の旧正月は赤色の洋服を着て、家族や同僚と魚生を囲みながら、近況報告や世間話で盛り上がってみてはいかかでしょうか。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.317(2017年1月23日発行)」に掲載されたものです。取材・写真:キャラハン直美

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