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熱帯綺羅

2016年6月6日

壁に織りなす都市のメッセージ グラフィティ・アートと壁画を巡る

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自作の前に立つイップ・ユーチョンさん。ショップハウスの1階が食材屋の懐かしい風景を描いた。ココナッツを削る女性と氷を切り出す主人が店内で働き、店の中にはソーセージ、塩魚やアヒルの干物、量り売りの穀物、お菓子などが、実在の銘柄やトレードマークとともに細かく描写されている。

 

「グラフィティは、『私は生きている、この町は生きている』と市民に語り掛ける生命体だ。グラフィティのない町は、花のない野原のようなものだ」
—『 Las Calles Hablan』 (2013)

 

次々と進む都市開発プロジェクトのもと、街の風景が年々変わるシンガポール。建物の新旧に関わらず、近年スプレーなどで描かれたグラフィティ・アートや人々の生活や風景を描いた壁画が、街並みに新しい彩りを加えています。

 

シンガポールのグラフィティ、「落書き」から壁に描くアートへ

シンガポールには、校舎などに子供たちが描く一般的なものから、チャンギ博物館にある元英国軍捕虜のスタンレー・ウォーレンが描いた宗教画といった歴史的なものまで、様々な壁画があります。最近では派手な色合いのスプレーやペンで壁に描かれるグラフィティ・アートもよく目にするようになりました。ミドル・ロードとブラスバサー・ロードに挟まれた文芸学術地区として知られる界隈には特に多くあります。
グラフィティといえば、許可なく公共物に「落書き」したことで、器物損壊・景観破壊の違法行為として厳しく罰せられた事例がシンガポールにはいくつかあります(2010年にスイス人の会社員がSMRTの車庫に侵入し車両に落書き。懲役7ヵ月とムチ打ち3回の刑を受けた、等)。一方で、手続きは複雑ですが建物の所有者、住宅開発庁(HDB)や都市再開発庁(URA)などに事前申請して許可が下りれば、誰でも外壁などに壁画を施すことができます。現在ではアート施設、レストランやホテル、時にはオフィスの壁面にとアーティストたちが招かれることも増えました。その技巧の高さに目を見張るようなグラフィティ・アートもたくさんあります。

 

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「ライオンと少女」と題されたリトアニア人のアーネスト・ザッカレビクさんの壁画。ペナン島のジョージタウンに描いた壁画でも知られている。

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