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熱帯綺羅

2009年7月20日

蘇った「ブラック&ホワイト」

コロニアル建築に見るエコライフ

高層ビルやコンドミニアムばかりが目につくシンガポールですが、白い壁に黒塗りの梁や窓枠が際立つブラック&ホワイトハウスと呼ばれる、一戸建てやテラスハウスが島のあちこちに点在しているのをご存じでしょうか。これは植民地時代の1898年から1941年の間に建てられたエレガントな建物で、東南アジアの建築史に残る貴重な文化財でもあります。ボタニック・ガーデンの一帯やロチェスター・パーク、アダム・パーク、ターフシティの裏手、フォートカニングの丘など、主要道路から外れた小高い丘や林の中にぽつんぽつんと建てられており、椰子の木やペッパー・プランテーションの緑に覆われた佇まいは隠れ家風でもあります。

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シンガポールがイギリスの植民地だった時代に建てられたブラック&ホワイトハウスのひとつ。角度によっては違う建物に見えるほど表情が異なる。

 

西洋建築にアジアのエッセンスを採り入れたインテリア

木造とレンガを半々に使った基本構造はイギリスの建築様式です。太い木枠を多用した白壁の家は、15世紀のイギリスで流行ったチューダー様式で、シンガポールでも当初はこのスタイルが多く、その後ゴシック様式を経て、ヴィクトリア様式が採り入れられるようになりました。これは木枠を黒に塗り、白壁とのコントラストが美しい建築様式で、木枠のデザインも凝ったものとなり、個性的でデコラティブな家が次々と建てられました。こうしてブラック&ホワイトハウスのスタイルが根付いたようです。

17世紀にやはりイギリスの植民地だったインドで建てられたアングロ・インディアンのスタイルも継承しており、高い天井、大きな窓と天蓋、広いテラスやバルコニーは熱帯モンスーンの気候に適しています。窓枠や柱の形、テラスのフェンスや屋根などのデザインは年代によってさまざまなデザインが見られるうえ、高床式のマレースタイルも取り込まれており、まさにこのブラック&ホワイトハウスは東西の交差点としてのシンガポールを象徴しているわけです。

なんといっても風通しのよいバルコニー、頭上で旋回する天井扇、アイアンレースの電灯、軒下から垂れ下がる白黒の簾が、コロニアルスタイルの建物と相まって心地よい空間を作り出しています。

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ブラック&ホワイトハウスを改装して、レストランやスパとして利用しているところも多い。

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