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熱帯綺羅

2009年10月19日

異種配合から生まれた蘭の花 Vanda Miss Joaquim ‘Agnes’

背の高い茎と細長い葉が網のように伸びて、上の方でピンク色の花が揺れている。薄紫色の陰を落とした花びら、中心部は濃いローズで、オレンジ色がかった部分があり、よく見るとそこには小さな紫の斑点がある。シンガポールの国花、ヴァンダ・ミス・ジョアキム・アグネス(Vanda Miss Joaquim ‘Agnes’)は、数千とも数万とも言われる多種多様の蘭の花の中でもその大きさや色のバランスが美しく、印象的な花に思えます。可憐な中に凛とした個性があり、蘭の花の正統的な形はそのままに、異なる色のエッセンスが薄い花びらの中で融合しているのです。ヴァンダ・フッケリアナ(Vanda hookeriana)とヴァンダ・テレス(Vanda teres)の異種配合によって生まれたヴァンダ・ミス・ジョアキム・アグネスは、まさに西洋と東洋が混じり合うこの国のシンボルとして花開いたのでした。

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ヴァンダ・ファミリーの蘭の花もそれぞれ花びらの形や色が異なる

 

国花誕生の地

タンジョン・パガー・ロードとクレイグ・ロードの角に背の高い蘭の花の植え込みと、その花の誕生にまつわる歴史を書いたパネル、そして花の形を象ったモニュメントの建つ、小さな公園があります。政府の公団住宅が並ぶ通りの端に位置しており、買い物客やオフィスで働く人々が忙しく通り過ぎるけれど、人々がその公園に足を止めることは少ない。実はその公園は1893年、ミス・アグネス・ジョアキムによって新しい種類の蘭の花が発見された場所なのです。

そこにはヴァンダ・フッケリアナとヴァンダ・テレスの蘭が植えられていて、その間にそれまでこの世には存在しなかった、違う種類の蘭の花が咲いているのが見つかりました。新種の花の発見者ミス・アグネス・ジョアキムはすぐにシンガポール植物園(ボタニック・ガーデン)のディレクターだったリドリー氏に報告し、植物学者たちによってこれは異種配合から生まれた新しい種類の蘭の花である、と認められたのです。発見者の名前に因んでヴァンダ・ミス・ジョアキム・アグネスと名づけられたこの蘭の花は、植物園にも植えられ大切に育てられました。

ヴァンダ・ミス・ジョアキム公園のパネルには、ヴァンダ・ミス・ジョアキム・アグネスがこの地で発見された事実、その後1981年には国花に認定されたことが記されています。さらに2002年には国花を象ったモニュメントも建てられ、背の高い蘭の茎がその周りを取り囲んでいます。

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植物園の中でもナショナル・オーキッド・ガーデンは必見の場所

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タンジョン・パガー周辺に来たら、このモニュメントにもぜひ目をとめてほしい

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