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熱帯綺羅

2010年9月20日

中秋節の味、家庭円満のシンボル「月餅」

シンガポールで人気の月餅「スノースキン・ムーンケーキ」

シンガポールで“トラディッショナル”と呼ばれるタイプの月餅は、小麦粉で作った生地に月に見立てた卵黄とハスの餡を入れて焼いた広東風の月餅。今でも主流はやはりこちらですが、近年増えているのが“スノースキン”と呼ばれるタイプの月餅。特にタイやマレーシア、シンガポールなど東南アジアで人気が高いのだそうです。今回、コンラッドホテル内にあるゴールデン・ピオニーの点心シェフ、林(ラム)さんに特別にスノースキン・ムーンケーキ作りを実演して頂きました。

スノースキンタイプの皮を作る材料は、“dry-fried glutinous rice flour”という粉。もち米を乾煎りして挽いたもので、水などと混ぜるだけで加熱せずに使えます。これにアイシングシュガー、ショートニング、ミルクを加えてボールの中で混ぜ合わせます。生地の固さを水で加減しながら混ぜて、しっとりとした生地にまとまったら、のし棒を使って生地を薄く丸型にのばします。餡を生地の真ん中に載せてくるんだら、表面に粉を軽く振って木型へ。木型にしっかり押し込んでから、2、3回手のひらの上にポンポンと叩きつけると、スノースキン・ムーンケーキがコロンと出てきて出来上がり。

シェフの鮮やかな手さばきを見ていると、とてもシンプルな工程に見えますが、材料の分量の加減や生地の混ぜ具合、皮を均等に伸ばす技術、丸め方などなどきちんとしたものが作れるまでには数年かかるそうです。

トラディショナルタイプに比べて、スノースキンタイプは味も色もバラエティ豊か。毎年新たなフレーバーが登場し、使われる材料も果物からチョコレートなど様々です。また、月餅を入れる箱も美しい模様が入った上質紙や光沢のある布を貼ったもの、より高級感を感じさせる革張りのものなどがあって、中華系の人々だけでなく、お土産にと購入する外国人も多くいます。

中秋節にはシンガポールらしく月餅を分け合って食べながらお月見を楽しんでみては。

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トラディッショナルタイプの月餅。切り口の部分の卵黄がちょうど満月のように見える。

文= 石橋雪江
写真=Eugene Chan

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.175(2010年09月20日発行)」に掲載されたものです。

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