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熱帯綺羅

2010年9月20日

中秋節の味、家庭円満のシンボル「月餅」

中華系の人々にとって中秋節(旧暦8月15日)は大事な家族行事のひとつ。今年は9月22日にあたります。この日ばかりは普段別々に暮らしている家族もみな都合をつけて大集合。そして、一年で一番美しいと言われる中秋の名月を愛でながら、家族みんなで月餅を分け合って食べるのが慣わしです。

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香港出身の点心シェフ、林(ラム)さんが作ってくれたスノースキンタイプの月餅。ハスの餡の中にオレンジピールが練りこまれている。

シンガポールでも中秋節が近づくと、普段お世話になっている人や親しい人、あるいは会社の取引先に月餅を贈ることが広く行われています。デパートやショッピングモールにも月餅売り場が登場、様々なホテルやレストラン、ケーキショップなどの月餅を一堂に集めた特設売り場の様子は、日本のお中元商戦を彷彿とさせます。買い物客たちは売り場に設置されたショーケースを覗き込みながら、月餅の種類はもちろん各店が趣向を凝らした包装の美しさなどもじっくり品定めします。中には何十箱もまとめ買いをしている人の姿も。

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月餅の木型。写真の木型は10年以上使い込まれたもの。

 

月餅の由来

月餅そのものの歴史は古く、中秋節に月餅を食べる慣わしは紀元前の周代にまで遡るようです。

中秋節にまつわる有名な伝説が仙女・嫦娥(チャン・アー)の物語。弓の名手であった夫・后羿(コウゲイ)が貰い受けてきた不老長寿の薬を、家にやってきた悪人の手に渡さないために飲んでしまった、あるいは天界恋しさに夫に隠れてこっそり薬を飲んで逃げてしまった、など諸説ありますが、共通しているのは嫦娥が薬を飲んだ後、月に昇ってしまい、后羿とは別れ別れになってしまったということ。それが8月15日の満月の夜で、后羿は毎年その日になるとお供え物をして彼女を偲んだそうです。その伝説にちなんで、宮廷の貴族達が中秋節に月餅を供えるようになったとか。

もうひとつ有名なのが、14世紀半ばの元代末期のできごとに由来する話。ある時、「中秋節に月餅を食べれば災難を逃れられる」という噂が巷で流れ、信じた人々はみな月餅を買って帰りました。中秋節になり、月餅を切ったら中から「八月十五日武装蜂起」と書かれた紙が。蒙古族の統治を覆したいと考えていたある戦略家が、各地に散在する武力を密かに団結させるために月餅を用いたという訳です。その戦略家は、明の太祖・朱元璋の宰相を務めた劉基だといわれています。もっとも、これは清朝時代に後から作られた話といわれています。

これら2つ以外にも様々な説が合わさり、旧暦8月15日に家族みんなで月餅を食べる習慣として中国で広まって、海外に移り住んだ華僑たちにも受け継がれていったようです。

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餡のオレンジ風味にあわせて、生地に食紅で色づけしているところ。

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