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熱帯綺羅

2010年12月6日

貝の白壁とステンドグラス「St. Andrew’s Cathedral」

今から25年前、マウント・ソフィアの丘の上からは、マリーナ湾の向こうに浮かぶリアウ諸島の島々を望み、その海と空を背景に、シンガポール最古の教会のひとつ、セント・アンドリュース・カテドラルの尖塔と十字架が見えたものです。そんな景色は今や多くのビル群に遮られてしまいましたが、教会の凛とした佇まいに変わりはありません。教会とその庭は急成長を遂げたシンガポールの最も変化の激しい場所にありながら、ビジネス街の影響をうけることなく、静かで落ち着いた趣きを保っています。1823年にスタンフォード・ラッフルズ卿によって指定されたラッフルズ・シティにセント・アンドリュース・カテドラルは建築されました。そのゴシック調の建物は外観の美しさもさることながら、内装の白壁に映えるステンドグラスに、信者でなくても神聖な光を浴びせられたような感動をおぼえます。

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4枚の大きなステンドグラスと、その隙間を埋めるエンジェルを描いたステンドグラス。それぞれの絵に意味がある。
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紋章をさりげなく挿入した3枚のステンドグラスは、シンガポールの歴史を語る貴重な美術品だ。

 

紋章を刻んだ東の窓と福音書の著者を描いた西の窓

礼拝堂の正面(イーストポーチ・東の窓)には細長いステンドグラスが3枚あり、繊細な模様が描かれています。ブルーを基調とした明るい色合いのステンドグラスですが、よく見ると、3人の有名な人物の紋章が、まるで模様の一部のように描かれています。中央の小窓は近代シンガポールの創設者・スタンフォード・ラッフルズ卿の記念として奉献されたもの。また、北の窓は1823年から26年までシンガポール総督を務めたジョン・クロフォード卿、南側の小窓は1843年から55年まで同じくシンガポール総督を務めたウイリアム・バタワース少将を記念するものだそうです。シンガポール開拓史に名前を刻む3人の紋章がステンドグラスの上方に組み込まれているのです。

礼拝堂後方(ウエストポーチ・西の窓)には4枚の釣り鐘型ステンドグラスがあり、こちらには中世の油絵のような人物画が見られます。彼らは福音書の著者たちで、向かって左からマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4人です。よく見るとそれぞれ人、ライオン、牛、そしてワシを伴っています。エゼキエル書(旧約聖書)とヨハネの黙示録(新約聖書)に登場する動物たちで、イエス・キリストの性格を象徴しているそうです。人間としてこの世に生を受けたイエス・キリストは、ライオンのようにすべてを治める王者の資質を持ち、人に仕える牛のような奉仕の心とさらにワシのような神性さを兼ね備えていた、とされます。聖書のストーリーを理解して、このステンドグラスを眺めると、絵の中の人々や動物たちが語りかけてくるように思えるでしょう。

東のステンドグラスも西のステンドグラスもイタリア人のアーティストによって丹念に描かれ、海を渡ってシンガポールに運ばれたものなのです。

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クリスマス前夜に眺めてみたい、教会の建物。

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