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熱帯綺羅

2011年5月16日

ユーラシア大陸最南端の国境「コーズウェイ」

「国境」という言葉にはノスタルジックな、そして旅情をかきたてる響きがあるのではないでしょうか。国境を越えると、向こう側には未知の生活空間や異文化が広がっているような気がします。そこにはパスポートやビザを検査する移民局があり、ものものしい国境警備が常駐し、さまざまな国籍の人々が往来している。でもシンガポールとマレーシアを結ぶコーズウェイの入り口に立つと、そうしたドラマティックなイメージや優雅な異国情緒は吹き飛んでしまいます。雪崩のように押し寄せる車、トラック、そして無数のオートバイ。ここは交通渋滞の激しい道路であり、世界でもっとも忙しい国境のひとつなのです。

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ジョホール側から望むコーズウェイ。食料品や生活物資が陸路で毎日マレーシアから運ばれて来るため、大型トラックも多い。

1キロメートルの土手は1923年に完成

4年にわたる工事を経て90年前に造られたコーズウェイは、独立以前に建設されたものですから、完成当時は国境ではなく州と州を結ぶ道路でした。ジョホール水道のほぼ中央を細く埋め立てて造った道路は堤防のようなもので、1998年に完成したセカンド・リンクのような橋ではありません。つまり、マレーシアとシンガポールは、厳密に言えば陸続きです。とはいえシンガポールが島として認識されていることに変わりないし、ユーラシア大陸の最南端は、ジョホール州のタンジュン・ピアイということになっています。そしてコーズウェイはユーラシア大陸最南端の国境なのです。

コーズウェイは国境としての役目を担う前、1942年に一度、日本軍の進軍を防ぐため一部を切断されたことがあり、その後、日本軍によって修復されています。また民族運動が激化した1964年には一時通行止めになったこともあるそうです。歴史に翻弄されたこの道路の両側に検問所が設置され、正式に国境となったのは、シンガポールが独立した46年前のことです。

さらに1,056メートルの道路には水のパイプラインも併設されており、文字通り、シンガポール人にとってのライフラインともなっています。パイプは3本あり、2本はマレーシアからの水の供給に使われ、もう1本は精製後の水をシンガポールからマレーシアへ運ぶために使われています。

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移民局の入っている通関の建物は近年改築され、手続きはスムースになった。

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シンガポール側から見たコーズウェイ。数年前まで車道脇に歩道があって、徒歩で渡ることができた。今は歩いて渡ることは禁止されている。

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