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熱帯綺羅

2013年3月4日

財閥タイガーバーム総裁夫人、胡暁子さんの栄華を偲ぶ遺品

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アジア最大の財閥だったタイガーバームの3代目総裁、胡一虎氏に嫁ぎ、シンガポールで最も有名な日本人女性として、世界を舞台とした活動や華やかな容姿が注目を集めていた胡暁子(おう あきこ)さん。ビジネスだけでなく福祉や難民救済、慈善事業に取り組み、赤十字の仕事にも奔走していましたが、晩年は日本で静かに過ごされ、一昨年10月に急逝が伝えられました。

 

暁子さんはシンガポールにたくさんの遺品を遺していますが、現在それらはキャッシュ・コンバーターズを経営するシンガポール生まれのイギリス人男性ジェレミー・テイラー(Jeremy Taylor)さんによって保管されています。段ボール箱900個にのぼる遺品の数々に、暁子さんの華麗な人生がうかがえます。

 

中国、香港、日本、西欧の家具や食器、装飾品の数々
世界を旅した故人の膨大なコレクション

胡暁子さんの遺品は、体育館のような倉庫の一角を占領していました。螺鈿の家具や中国製と思われる細工が施された食器棚など家具だけでも数十点。ウエッジウッドのティーセットや有田焼の食器、茶器やテーブルウエアもおびただしい数にのぼります。広いお屋敷で大勢のお客様をもてなした品々に違いありません。壺や花瓶も中国風のものからヨーロッパのガラス製品などさまざまです。ティファニーの時代物の柱時計。等身大のギリシャ彫刻風裸像。中国の神様を祀る供物台。漆塗りの化粧道具。家康の言葉をつづった竹。タイガーバーム・ガーデン(現ハウパーヴィラ)を彷彿させる虎の置物。シンガポーリアン画家のチュア・ミアティー(Chua Mia Tee)が描いた絵画など、美術品も蒐集されていたようです。今は輸出が規制されている象牙の彫刻もあって、金の装飾を付けた象のデコレーションにはサファイヤ、エメラルド、ルビー、ムーンストーン、パールなどが散りばめられており、数千ドルの価値はありそうです。

 

読書家だった暁子さんは本もたくさん遺されています。2〜3箱開けてみると、日本語の本だけでなく中国語、英語の本も数多くあり、語学が堪能だったことがわかります。真紅の表紙の分厚い本は源氏物語絵巻のレプリカでした。「小面」と書かれた桐の箱を開けてみると、中から出てきたのは能のお面。お歯黒が少し剥げかかってはいるものの、保存状態は良いようです。すべてを見るのは不可能ですが、暁子さんの遺品だけで骨董店を一軒開けそうでした。

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