かつては現地採用での就職機会と言えば本社派遣者の補佐的役割が中心でしたが、最近はこの垣根が低くなりつつあり、同時にかなりのキャリアを持った方がシンガポールに転職してこられたり、駐在期間終了後シンガポールにとどまって新しいキャリアを求めたりとシンガポールにおける就職も多様化してまいりました。これは企業側にとってシンガポール拠点の重要性が増していく中、駐在員の維持コストの上昇をも考慮し、経験の少ない若年駐在員を派遣する代わりに当地での経験豊富な人材を現地採用する傾向が増していることの表れです。また、外資系企業に至っては日本支社や日本企業とのビジネスを全面的に任せられる即戦力となる人材を求めており、これらのポジションはその責任範囲や待遇面においても本社派遣者と大差のない例が増えてきております。加えて当地へ新規進出をされる日系企業が経営トップを現地採用する例も少ないながら出てきております。
こうしたポジションで求められるのは対象となるマーケットでの実務経験、人材管理能力、異文化理解度、語学力に加え、仕事に対する自発的な姿勢と組織に属しながらも依存しない自立心がある人物です。また自分なりの人生のビジョンが描けておりバイタリティのある求職者が最終的に選ばれています。
このような求人は非公開でなされることが多く、情報の入手から採用決定まで時間がかかる場合が多いので早期に転職活動を始めることが大切です。経営トップレベルのポジションであれば半年程度の期間は必要になるでしょう。具体的な転職時期に至る以前に「こういう転職機会があったら動く」という自分なりのガイドラインを定め準備しておくことが重要です。
まずは自分が今後どのような生き方をしたいのか、家族を含めて考えてみることです。その上で一度キャリアカウンセリングを受け、人材として自分がどの程度の市場価値を持っているかを客観的に知ることが必要でしょう。経験を活かすとなると多くの方が同じ業界での転職を考えられますが、実際問題として競合企業へ転職することはこれまでの人間関係上の障害も生じて難しくなるものです。それよりも経験・知識の応用がどのあたりまで可能かを判断し、対象業界を絞り込んでいく方が賢明です。キャリアカウンセリング時に用意する職務経歴書は経験を大枠で捉えたもので構いませんが、具体的な応募先が決まったらポジションに応じてアピールするべき部分に焦点を絞って書き直します。自分のアピールするべき点を把握できていることは即戦力として自分の活かし方がわかっているということ、即ち具体的な貢献に対してビジョンが描けているという評価につながります。
文=プライムサーチインターナショナル MD 川村 千秋
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