2007年12月より、新しい就労ビザ制度であるワークホリデーパス(WHP)が開始されました。オーストラリアやカナダなどのワーキングホリデービザは2国間協定で、当該国の国籍保持者が対象ですが、シンガポールが実施するWHPに応募できるのはオーストラリア、フランス、ドイツ、香港、日本、ニュージーランド、イギリス、アメリカの大学在籍者および卒業者。国籍は不問で、上記の国の大学への留学生も応募できます。日本の場合、文部科学省が認可した国公立・私立四年制大学の在籍者および卒業者が対象です。また、上記に該当する大学の合格者も入学前にWHPを取得することが可能です。年齢制限は17歳~30歳、推薦入学等で進学先が早く決まった高校3年生なども応募資格があります。
WHPのもうひとつの大きな特徴が、医療や法務関係など資格を要する職種を除いて、同パスで就労できる職種の制限が無いこと。期間が6カ月までと短いことから、給与最低額の制限もありません。
WHPは延長できませんが、期間終了前にエンプロイメント・パス(EP)などを申請・受理されれば、ビザを切り替えて就労を続けることもできます。
雇用側としては、この制度を利用して海外勤務を希望する学生をインターンとして受け入れ、シンガポールで実際に暮らして働くことをいち早く経験してもらい、ビジネス環境の良さや魅力を実際に見て感じてもらうことで、優秀な人材の確保につなげることも考えられます。手続きはEPなどより簡略化されており、就労先が未定でも本人の手続きだけで申請できます。申請者のパスポートのコピーと、合格/在学/卒業証明書、銀行の残高証明書など滞在費と帰国のための交通費の支払い能力を証明するものを、申請書類と一緒に提出します。当面はパスの発給数も2000までと制限がありますが、制度の運用状況とともに見直され、追加される可能性もあります。
WHPの取得者、雇用者それぞれにとってのメリット・デメリットとして考えられる項目を次に挙げてみます。
| |
WHP取得者 |
雇用者 |
| EP・Sパスなしで就労可能 |
○ |
○ |
| 給与最低額の制限がない |
△ |
○ |
| 職種の制限がない (※登録・認可が必要な職種を除く) |
○ |
○ |
| WHP期間中の転職が容易 |
○ |
× |
| 高校・短大・専門卒は申請不可 |
× |
△ |
就労ビザの取得が比較的容易なシンガポールではありますが、より手軽なこの制度を上手く利用すれば、WHP取得者にとっても雇用者にとってもメリットが得られるのではないでしょうか。
文=AsiaX編集部
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.114(2008年01月14日発行)」に掲載されたものです。