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IT業界編

シンガポールにおけるIT系技術者の給与水準については、SARSが流行した2003年から04年までは下降傾向にあったが、それ以降は現在まで上昇を続けている。現在のローカルIT人材の給与は、職種にもよるが、平均$3,500~5,000程度。プログラマ等の場合は$2,500、システムのヘルプデスク等では$2,000程度の場合もある。IT技術者、とくにネットワーク関連や、顧客企業の業務知識を持ったソリューション系のスペシャリスト等、特定のスキルを持っている人材のニーズはまだまだ増大傾向にあり、給与水準も上がっていくものと思われる。


日本人IT技術者の現地採用は少ない。日本で働けば年間800万~1,000万円程度を稼ぐことのできる人でも、こちらでは月給$5,000~7,000程度にとどまるため、日本で働くことを選択する場合が多い。「シンガポール人と結婚しているので当地に留まりたい」等の理由がない限り、こちらで働き続けようというケースはあまり多くないものと思われる。


シンガポールにおけるIT系人材の供給状況については、「人数は多いが、クオリティの面で日本人やインド人に劣る」というのが現状。十分な知識と技術を持ったシンガポール人技術者は少なく、シンガポールの人材ニーズを満たすには不十分であるため、給与水準が若干低いインド人技術者たちがその不足分を埋めている。その背景には、シンガポール企業の雇用方針の問題がある。シンガポールの企業がIT系の人材を募集する場合は「即戦力」を求めるケースが大半であるため、ポリテクニックなどを卒業したばかりの若い技術者を育てる場がない。そのため、技術レベルの高い叩き上げのインド人などに仕事を奪われるような格好になっている。


ただ、人材ニーズの高さも手伝って、インド人技術者の多くは「自分の給料が(華人などを含めた)相場より安い」と感じるとすぐ転職する傾向にある。その結果、華人とインド人の給与水準は近づいてきており、地元企業にとっては、あえてインド人技術者を雇うメリットがなくなりつつある。とはいえ、インドIT産業の発展にともない同国のIT人材供給力は急速に伸び続けており、知識や技術のレベルと雇用コストを考え併せると、日本企業もインド系IT人材の雇用を考えるべき時期に来ているものと思われる。ただ、一部のインド人求職者は履歴を「飾る」ことが上手く、雇ってはみたものの職務経歴書に書かれていることができない、というケースも発生している。直接雇用するよりも、専門の人材エージェント等を通じて雇用するほうが安全だろう。

文=テクサー 代表取締役 荒屋 隆

TEXSEAR 東京エグゼクティブリクルートメント

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.117(2008年03月03日発行)」に掲載されたものです。
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