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2014年9月17日

柔軟な姿勢と交渉力が求められる環境

Professional Investment Advisory Services Senior Financial Consultant 山下 千華氏 業種:ファイナンシャルアドバイザー

弊社は大手FA(Financial Advisor)として5万人強の顧客に資産運用、保険、ファイナンシャルプランニングといったサービスを提供しています。FA会社は一般的に自社の商品はなく、金融機関や保険会社の商品をクライアントのニーズに合わせて選定、提案をする業態です。規模が大きいFA会社は扱う商品数も多く、新商品や各商品のアップデートなどが頻繁にあるので、パートナー企業とのやりとりを大切にしています。

 

特にニーズが多い商品を扱っているパートナー企業のスタッフとは頻繁に連絡を取り合います。転職が多いシンガポールではよくあることですが、同じ業界内での移動が一般的で、A社の担当だったスタッフから退職の連絡を受けて間もなくB社の担当として挨拶に来られるなど、仕事のお付き合いが継続することもあります。

 

2006年に入社して以来、多くのパートナー企業の担当者の方々と接してきて感じることは、スタッフによって仕事の出来具合が顕著に異なることです。同じことを依頼しても全てを完璧にこなす人もいれば、何度も細かく確認をしないといけない人まで様々です。それはシンガポールでは転職をして役職や給与の上昇を目指す人が多いため、チームワークで仕事をするという意識が低く、個人として成果を出すことに力を入れているからではないかと思います。

 

例えば同じ企業に同じ質問をした同僚が自分と異なる回答を得ることがあります。回答が異なると有利になる場合とそうでない場合があり、納得ができずにいました。ある日、それをシンガポール人の同僚に相談すると、「A社だと○○さんに連絡を取ると良い」とか、「B社だと○○さんがしっかりしている」とか、弊社の担当でないスタッフの名前がでてきました。その後、各社に頼りになるスタッフを見つけることで、効率よく業務ができるようになりました。同時にシンガポールには非常に優れた人材が多くいることにも気付きました。

 

そしてシンガポール人は、ケースバイケースで臨機応変に対応できる柔軟な姿勢を持っていることにも気付きました。規定では認めていないことでも、交渉すると特別に認めてもらえるケースなど、クライアントにとって有利な回答を得られることもあります。同じ質問に対して異なる回答になるのは、そういう背景にあることが分かりました。つい日本の常識で規定に従ってしまいがちですが、良し悪しは別にしてシンガポールでは交渉することで結果が変わることがよくあります。その点においては柔軟な姿勢と交渉力が求められている環境だと思います。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.265(2014年09月17日発行)」に掲載されたものです。

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