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採用にあたって注意すべきポイント

2019年4月25日

年間 10万以上の履歴書に目を通す人材のプロがお伝えするシンガポールの労働市場

~今回は近年のシンガポールの労働市場について解説します。

シンガポール国内における労働人口

 2018年末時点のシンガポールの全人口は561万人。その中に占めるシンガポール人・永住者(レジデント)の割合は、71%(397万人)です。また、2018年6月時点でのシンガポール内の労働人口は365万人。その中に占めるレジデントの割合は、62%(229万人)であり、本コラムではこの229万人のレジデントの労働者に焦点を当て、2008年と2018年のデータを比較しながら、シンガポールの労働市場のトレンドについて解説していきます。

 

トレンド1: 女性の労働力の増加

 トレンド1: 女性の労働力の増加労働力における女性の割合は、10年間で2008年の43%から2018年の46%へと上昇。これは柔軟な労働環境の普及率の高さと、女性の大学卒業率の高さによる社会進出を反映しています。

 

トレンド2: 労働者の高齢化

 高齢者人口と労働力率の持続的な増加により、シンガポールの労働者全体における55歳以上の人口の割合が2008年の15%から2018年には24%に増加。特に30〜49歳の年齢層の労働者人口が減少しています。

 

 

企業の採用及び優秀な従業員を確保する上での今後の課題と解決策

 
課題1 ~女性の労働力をどうやって取り入れられるか?~
 シンガポールでは女性の労働者人口(15歳以上)で60数%が職に就いているというデータがあり、政府として残り4割の労働力をいかに活かしていくかを課題としてあげています。「一億総活躍」を目指す日本と似ているところがあり、そのためシンガポールの職場もいかに女性が活躍しやすい環境を提供できるかを重視する傾向が増えております。例えばフレックス制、在宅勤務制、時短勤務、パートタイムなどの制度を積極的に取り入れる外資系企業やローカル企業が徐々に多くなってきました。一方で、日系企業はその点で少し遅れをとっているものの、年々女性の採用に力を入れている企業が増えてきている印象です。
 女性の立場で考えた時、朝の身支度や子どもがいる方には特にプラスに時間を活用できる利点に着目して制度を設計する、ブランディングしていくことが必須です。

 
課題2~優秀な若者の労働者をどうやって確保及びリテインできるか?~
 若い求職者の方から、その企業の社員の方々の働き方や福利厚生に関する質問をよく受けます。若い求職者がこのような質問をされる理由は、決して楽をできる職場を探している訳ではなく、自身が働きやすい、働きがいのある職場かを確認するためであります。
 若者に選ばれる企業になるための3つのポイントとして、1)働き方の柔軟性、2)会社のビジョン・目指す方向への共感、3)仕事の価値の繋がりを体感できるか(自分が頑張る理由があるか)が挙げられます。社員一人一人のワークスタイルを尊重しつつ、共通の価値を創出するためのワークグループが形成され、よい雰囲気の中で、共通の目標に向かっている会社こそが、シンガポールレジデントの若者に支持される会社だと考えています。また、労働時間や雇用形態、ワークスタイルの見直しを進めるなど、働く環境が大きく変革しつつある中で、若者の労働者が企業に求めていることは、自分らしく働ける環境があり、仕事へのやりがいを見いだせるかということ。大手外資系企業の中には、独自の工夫で魅力ある職場環境を生みだし、人材を確保・維持している例も多数あります。働き方における今までの常識や固定観念を払拭し、多くの日系企業が大切にしている『会社のビジョン』を従業員及び求職者によりアピールし、従業員に仕事の価値の繋がりを体感してもらうことで、若者から支持される会社になる可能性が広がるはずです。

 

引用文献
MOM Report,Labour Force In Singapore 2018,
Ministry of Manpower,31/01/2019
https://stats.mom.gov.sg/Pages/LabourForce-In-Singapore-2018.aspx

 


RGF Talent Solutions Singapore Pte. Ltd. 
のざき ゆうじ、Director 野﨑 裕司さん
2009年上智大学卒業後、外資系人材紹介会社勤務を経て2017年にRGF (リクルートグループ)へ入社。日本人の海外転職支援およびグローバル展開を志向される企業の採用活動の支援に注力しております。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.345(2019年5月1日発行)」に掲載されたものです。

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