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採用にあたって注意すべきポイント

2019年3月8日

人事面から見るアジア、 シンガポールの業績達成企業の傾向〜採用成功に向けた組織づくりのポイント〜

日系企業にとって採用環境の変化が著しい昨今。新たな局面を迎えつつあるなか、これまで以上に現地スタッフ数を増やすなど、企業は時代の要請にあった人材採用が求められています。人材サービス関係者がルールや習慣の違いなどのポイントを解説します。

 

年末年始、旧正月を過ぎ、従業員からの予期せぬ退職通知に驚き、欠員補充の採用に忙殺された企業は多いのではないでしょうか。日々目の前の対応に追われている担当者も多くいらっしゃると思いますが、この機会に中長期的な視点で海外法人のあるべき姿を人事面から見直してみてはいかがでしょう。当社が毎年実施しているアジア人材戦略レポートの今年のテーマは「グローバル競争を勝ち抜く日系企業の人材戦略」。皆さまがシンガポールでより良い採用活動を実現し、業績目標を達成していくために、当社のレポートから見えてきた達成企業の特徴についてお伝えします。(全回答社数858社、シンガポール101社回答)

 

シンガポールで業績達成をしている企業は23%

こちらのグラフは、「直近の業績について、売上・利益・成長性・収益性など、貴社が 最重要視する経営数字の達成状況はどうか?」という質問に対して「大幅に達成している」「達成している」と回答した企業の割合を示したものです。シンガポールは23%と、他の国と比較しても低い達成率となりました。

1.離職率:離職率と業績達成の相関関係は無い?

調査結果から離職率の高低と企業の業績達成には相関関係は見られませんでした。一般的にシンガポールでは日本と比較して離職率が高いと言われていますが、一方で組織の新陳代謝を行う観点から人が辞めないこともまた問題となることがあります。ぬるま湯環境によってローパフォーマーが辞めず、ポストが埋まって組織が硬直してしまうなど。そして、業を煮やしたハ
イパフォーマーは(昇格できず)辞めてしまう事態も。離職については単に離職率の高低だけでなく”離職の理由”を意識する必要があります。もし辞めてほしくない人材が辞めてしまっているということであれば、何らかの打ち手が必要です。

 

2.人材育成:達成企業は人材育成のためにより多くの取り組みを行っている

1社あたりの教育研修実施平均選択数

調査結果より、達成企業の方がより多くの教育研修プログラムを取り入れていることが分かりました。外資系企業に比べて給与の低い日系企業は優秀人材の獲得競争では不利を強いられていることから、人材育成の重要度は相対的に高くなると考えられます。日本では新卒から育成し、戦力化させる事が一般的な日系企業ですが、果たしてシンガポールにおいても同じように人材育成に投資できているのでしょうか。

 

3.人事制度:達成企業は定期的に給与テーブルを見直す

調査結果によると「給与テーブルを5年以上見直していない」企業では、業績目標を達成している企業割合が20%未満と低い結果となりました (アジア全体の平均は32%)。給与テーブルを見直すことは、採用競争力や従業員の定着性を保つ上で重要です。日本と違い、毎年賃金水準が上がり続けるアジアにおいては、給与テーブルを随時見直さなければ採用市場とズレが生じてしまいます。「常に相場に合ったテーブルであること」が採用や繋ぎ止めにおいて重要です。

 

4.社内コミュニケーション:達成企業は駐在員が現地従業員と「定期的に」コミュニケーションをとる

コミュニケーションの在り方を達成企業と未達成企業とで比較した場合、達成企業では駐在員が「定期的に」従業員とコミュニケーションをとっているという結果となりました。元々の考え方が異なる現地従業員に自社の考え方を浸透させる一方で、自らもスタッフの考えを理解し、消化できるようになるまでには、本来であれば何度も繰り返し話し合いをする必要があります。コミュニケーションを積極的にとっている企業は業績にも良い影響が出ていると考えられます。

 

以上が当社のレポート結果から見えた、東南アジアで業績達成している企業の傾向(概略)となります。結果を見れば「当りまえのことをきっちりとやっている企業」という印象かと思いますが、皆さまの会社はいかがでしょうか。人材育成や福利厚生にきっちりと時間や予算を割けているか、採用競合企業と比較して給料面は見劣りしていないか、見直しをできているか、駐在員は現地従業員とコミュニケーションを十分にとれているか、など確認してみるのも良いかもしれません。改めて「重要だが、後回しになっていたこと」を見直す機会を設けてみてはいかがでしょうか。

 

ご希望の方にはアジア人材戦略レポートを送付させていただきますので、お気軽にJAC Recruitmentまでお問い合わせください。


JAC Recruitment Pte Ltd シニアマネージャー
松本 勇太さん
大阪大学(機械工学専攻)卒業後、人事系コンサルティングファームに入社。採用・組織開発コンサルティングに従事。その後、外資系企業にて人事を経験。
2015年に来星しJACリクルートメントへ入社。製造業専任のリクルートメントコンサルタントとして活躍しながら、マネージャーとして部下の管理・指導も行う。シンガポール国立大MBA取得。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.343(2019年3月1日発行)」に掲載されたものです

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