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2009年9月21日

人材紹介会社に求めるプロのサービス品質

野村総合研究所シンガポール 社長 小竹 敏 業種:情報サービス

日本語によるテレビ国際放送で、企業の人材採用に関するクイズ番組が毎週放送されています。様々な先端企業の人事担当者が実際の面接試験で使用された問題を出して、ゲストの回答に基づいて採用の可否を判定するという大変ユニークな番組です。自分が面接を受ける立場だったらどう回答すればいいのだろう、あるいは自分が面接官となって合否を判断する立場だったらどう評価するのだろう、などと考えながら、25年前の自らを思い出しつつ、番組を見ながらほっと胸をなでおろすことしばしばです。

 

それはさておき、この番組で出題される問題は、主に企業理念にいかにマッチした人材を発掘するかに焦点があるようです。たとえば、先日の放送分では、あるスポーツ用品メーカーから「自分をモノに例えてください」という質問が出題されました。問題の内容や評価の仕方からも、多数の応募者の中から適材を抽出するための作戦がうかがえます。

 

一方、在シンガポールの我々日系企業は、現地社員を大量採用するケースは別として、企業理念、経営理念に合った人材を一般より応募すると言うよりもむしろ、現場の日々のオペレーションで期待する役割をもとに、人材紹介会社を通じて求める人材を調達する場合がほとんどです。私は野村総合研究所(NRI)のシンガポール現地法人で東南アジア地域での事業拡大に取り組んでいます。経営コンサルティングからITソリューションまでのサービスを提供するための、特定の知識、技能、経験、実績を持った人材を求めます。その場合、人材を募集する側の責任としては、いかに必要とする人材を正確・的確にイメージし、募集をお手伝いいただく人材紹介会社に伝えられるか、が重要です。前述のスポーツ用品メーカーの面接試験のように、「自分をモノに例えたら、『座布団』である、という人」を探してください、というわけにはいきません。人材を募集する側としては、人材像、条件をできるだけ具体的に伝える必要があります。

 

また、当然ですが、人材紹介会社には人材提供のプロとして、応募者の求める人材にできるだけマッチした人材を候補者として紹介していただくことを期待します。人材紹介会社の中には残念ながらこうした採用側の意図を十分理解いただけていないケースも少なからず見受けられます。募集側の求める人材に比較的「近い」候補者を探し出すことは容易かもしれません。しかしながらその場合、結果として、履歴書を一瞥してダメ、というケースもしばしばです。なかには、条件と異なる人材を先方の都合で持ってきたりするような、本末転倒な人材紹介会社もあったりします。そういったところには、二度と募集のお願いもしなくなってしまいます。要望に完璧にマッチした候補者を探し出すのはそう簡単ではないでしょう。要求条件が厳しい場合はなおさらで、よほどの幸運でない限り探し当てることは不可能だと思います。ならば、いまは「近い」候補者ではあるけれど、将来はきっと要望にマッチした存在になると期待できる人材を見出していただくことができれば募集する側にとっては非常にありがたい。そのためには、新規人材の募集を行っている企業の事業戦略に踏み込んでまで話を聞いてくれる、逆に候補者のスキルロードマップや将来性を確認して紹介してくれる、そんなプロの人材マッチングの仕事をしてくれるところこそ、私たちの求める人材紹介会社だと考えています。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.153(2009年09月21日発行)」に掲載されたものです。

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