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Employer's Voice

2009年10月19日

日本企業に適したグローバル人材のスペックについて(1)

三菱商事(株) HRDセンターアジア分室長 松田豊弘 業種:総合商社

グローバル人材開発を生業にして早や15年が経過しようとしている。私事になるが、アジア地域の連結ベースのHRD(Human Resources Development)のミッションを帯びて当地に赴任してわずか4週間を経過したところであるので、シンガポール人についての論考は後日に譲ることにして、今回は「日本企業でサバイバルしうるグローバル人材」について拙稿を披露し、読者諸氏のご意見を拝聴したい。

最近10年間は、世界中のオフィスの人事制度(以下 HRDシステム)の改定に腐心してきたが、この間、20カ国以上、1000名以上の海外オフィスの社員と面談した。いわゆるRetention(人材確保)のため、「職務価値」と「人材価値」の両方の観点から個別のポジションを見極める。そして個々人の「業界」における妥当な「市場価値」を反映すべく、新グレード制度の下、給与を改定する。この様なプロセスで何とか過半数の「優秀非日本人社員」(以下 ナショナル・スタッフ{NS})を確保することができたが、数十名の「超優秀」NSはどうしてもRetainできなかった。皆様も多かれ少なかれご経験があられると思う。芸能週刊誌風にいえば、「私を通り過ぎていったNS達」ということになる。彼らの一人一人の去就が今でも鮮明に思い起こされる。もっと工夫すれば、「確保」できたケースもあったのではないか。この問題意識を持って個別のCareer Managementを試行錯誤してきたが、「通り過ぎていったNS」の個別の分析からいくつかの「教訓」が得られた。

  1. 日本企業の駐在員のHRD意識とスキルの問題-本社での「玉突き人事」故の問題と思われるが、一般的にNSのキャリアに対する関心が低い。また、考課スキルが不十分。英語力の問題もあるが、「一を聞いて十を知る」文化と裏腹の現象。
  2. 辞めたNSと残ったNSを比較してみると、いわゆる「日本的要素(Japanese Factor)」の有無が差別化要因であることが判った。若い頃日本に住んだことがある、日本人の妻がいる等、日本社会と日本文化が好きであるNSが残る可能性が高い。

他にも様々な発見があったが、上記の2点に基づき、駐在員のHRD研修を強化し、同時にNSへの日本語研修および本社での出向・業務研修を実施しているわけである。

下図は、今後われわれ日本企業が海外での採用活動で、当該地域もしくは国で駐在員の右手左手を超える非日本人プロ人材を採用する場合に参考願いたい。次回に解説させて頂く予定だが、図中の「?」の部分が何であるか、ご一考頂ければ幸甚。

 

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この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.155(2009年10月19日発行)」に掲載されたものです。

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