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Employer's Voice

2011年1月17日

スタッフと共に成長するということ

NTL Naigai Trans Line Singapore Pte.Ltd. マネージングダイレクター 児玉 隆 業種:国際貨物輸送業

弊社はコンテナ船を利用した小口貨物の混載輸送を得意とする物流会社です。コンテナ1本に満たない貨物を多くの荷主様、企業様からお預かりし、弊社でそれらの貨物をコンテナに積め込み、1本に仕立てる混載便サービスを世界各地で行っています。また世界各地の代理店あるいは弊社グループ会社からシンガポール向けの輸入混載サービスも取り扱っています。最近ではDoor to Door輸送だけでなく、3国間輸送、FTA(Free trade agreement)を活用した輸送、危険品輸送などの要望も増えてきており、ますます専門的な知識が必要となってきています。そのため弊社で求人を行う場合、まず即戦力として「業界経験者」であることが一つの条件となります。ただ経験があれば誰でも良いというわけではありません。今回弊社が一緒に働きたい人材について少しお話させていただきます。私も一会社員として見習いたい、お互いに成長していきたいと思う社員が社内に数名おりますので彼らのケースをご紹介し、求職者の方にとって何かヒントになれば幸いです。

 

シンガポールで採用面接を行う際、求職者の方に「年齢、人種、性別、学歴は関係なく、能力とやる気さえあれば昇進、昇給は可能です」と伝えます。弊社の例ですがオペレーションスタッフとして入社した男性社員が入社して2年後、26歳でオペレーションマネージャーに昇進しました。まだ業界での経験は浅かったのですが積極的に仕事をこなし、難しいトラブルでもあきらめずに解決しようとする姿勢を評価しました。短期間での昇進、そして他のベテラン社員のことも気になりましたが、周りのスタッフも彼の能力、仕事に対する積極性を認めており大きな問題にはなりませんでした。昇進した本人も重要な仕事を任されるようになり、ますます責任感を持って仕事をしてくれるようになりました。個人の能力の差はあるにせよスタッフに平等にチャンスを与え、新しい仕事や難しい課題に挑戦させることが重要だと感じます。もちろんそのチャンスを生かすかどうかは本人次第です。

 

冒頭で「業界経験者」が一つの採用条件であるとお伝えしましたが、未経験者を正社員として採用したケースもあります。繁忙期に契約社員を3ヵ月限定で採用しました。彼女は学校を卒業したばかりでまだ正社員として働いた経験はありません。彼女の主な仕事は正社員の仕事をサポートする単純作業です。実際に働き始めると非常に一生懸命で、また笑顔を絶やさない明るいタイプのため周りの正社員からも可愛がられ、カウンターでの接客態度も良くお客様から良い評価をいただくようにもなりました。最終的にこちらから契約社員ではなく正社員として採用したい旨を伝え了承してもらいました。採用計画がなってないではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。ただ一生懸命な姿は人の心を動かしますし、良い人材にめぐり合う機会というのはそうあるものではありません。

 

「思っていたより忙しいので辞めます。」と言われ入社数ヵ月で社員に辞められたことがあります。もちろん面接時に繁忙期は大変ですよと伝えてはいるのですが残念な思いをすることもあります。このようなタイプとは逆でどんなに仕事量が増えても最後まで責任感をもって仕事をこなす女性マネージャーがいます。繁忙期に彼女の部下が辞めると聞いた時、彼女にかなり負担がかかるので心配しました。大丈夫かどうか尋ねた時「退社時間は遅くなるかもしれませんが、全ての仕事は責任を持ってやりとげますので安心してください」と言われました。その時は責任感が強く、仕事が終わるまで粘り強くやり遂げる姿勢に感動しました。

 

最後にベテランの女性マネージャーの紹介をさせていただきたいと思います。弊社は毎朝朝礼を行っています。その際に彼女は参考になる新聞記事の紹介や現在のマーケット情報など他の社員にとっても有意義な情報を提供してくれます。また会議でも積極的にどうすれば会社が良くなるのか自分の意見を発表し、また実践しています。彼女は自分の仕事、チームだけでなく、会社全体を良くしたいと考えており常に全社員のモチベーションを上げるように努力してくれています。

 

積極性がある、単純なことでも一生懸命やってくれる、責任感を持って仕事をしてくれる、会社全体を良くしようと努力してくれる、このような人材をもっと社内で増やし会社を成長させていきたいという思いがあります。しかし良い人材と思って採用してもすぐ辞められてしまうケースもあります。限られた面接の時間でどれだけ適切にその人物を見極められるかということが私自身の課題です。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.182(2011年01月17日発行)」に掲載されたものです。

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