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Employer's Voice

2011年11月21日

シンガポールでの人材確保のヒント

Huminte Pte Ltd マネージングダイレクター 川田 康廣 業種:IT

20年近く前、とある日曜日、必要な書類があって事務所に取りに行った。当時の事務所はガラス張りのビルの1室。冷房がなければ蒸し風呂状態。日曜日は冷房が入らない。まさか事務所に人がいるとは思わなかった。ドアを開けて中に入ると若手のスタッフ3~4人が上半身裸でパソコンに向かっていた。今の若手社員はどうか。終業時間の10分前くらいになると帰り支度を始め、終業時間と共に帰宅。日本人スタッフも変わった。ゆとり教育の成果で基礎学力は低下し、ITに関しては中高年の管理職の方々の方が若手社員よりも詳しい。そのような状況でも人材確保無くして企業は存続できない。そこで、いくつかのヒントをご紹介しよう。

シンガポールで会社を運営していく場合、人材に関しては以下のような注意が必要だ。

  1. 人材は常に流動的。うまく利用すれば利点ともなる。
  2. 現地採用の日本人スタッフでも、考え方はローカライズされていることが多い。
  3. EP、SPの認可は経済状況や失業率の変化により取得がむつかしい時期がある。

優秀な人材の採用

(1)新卒者の場合

大学、ポリテク等の先生に紹介してもらうのが確実。シンガポールの大学、ポリテクでは実務研修の単位がある。数か月間、月S$500程度の手当を負担すれば、学生に職場で実際に働いてもらうことができる。人材を見極めるには極めて有効だ。

(2)中途採用の場合

確実なのは、すでにその人材について良く知っている人か、あるいは信頼できる知り合いから紹介してもらうことだ。シリコンバレー等で活用されているコネのネットワークであるLinkedInもシンガポールで普及してきている。そうしたソーシャルネットを使うのも手だ。シンガポールでは、コネは日本以上に強力。LinkedInは、現在ビジネス全般のプラットホームとして進化しつつある。活用すべし。

(3)計画的な人材の確保

企業では、発達段階に応じた人材が必要とされる。シンガポールでは人材が常に流動的であるため、必要な段階で必要な人材を確保しやすい。人材紹介会社へ、「このような人材が出たら紹介してほしい」と依頼しておくと良いだろう。優秀な人材は簡単には見つからない。時間をかけることがポイントだ。

(4)駐在員の奥様方の活用

ディペンデントパスを持っていれば、MOMへ申請することにより労働許可が取得できる。実務経験の豊富な人材も多い。パートなら働けるという人も結構いる。

(5)人材の共用、アウトソーシング

会計事務などで多く見られる。フリーランス的に働いている人材もいる。当社でもいくつかの会社のパートタイムIT担当者みたいなことを行っている。限られた予算の中で、ハイレベルの人材を得る有効な手段だ。ジュニアレベルのフルタイム・ローカルスタッフと組み合わせても良いだろう。

(6)人材の育成

シンガポールでは、多くの補助金が用意されている。ローカルスタッフを日本で行われる研修に参加させるような場合でも、状況によっては補助金が出る。活用しよう。

(7)情報技術の活用

人材の流動性が高いため、いつ人材が退社しても業務に支障が無いようにしておくことは会社にとっても、会社の取引先にとっても重要。それには情報技術(IT)の活用が効果的。少なくともある程度のデータベースは構築しておくべきだ。情報の共有化により、スタッフもチームとして機能できる。

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.201(2011年11月21日発行)」に掲載されたものです。

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