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2012年4月16日

シンガポールと日本人女性

ACCEA SINGAPORE PTE LTD マネージャー 渡辺 曜子 業種:印刷

先日、ACCEA(アクセア)というオンデマンドプリントのお店をインターナショナルプラザにオープン致しました。日系の印刷会社で、海外ではシンガポールが初出店であり、ここ2ヵ月ほど工事だ契約だとてんやわんやの毎日でした。まだまだシンガポール初心者ではございますが、この短い期間で経験した、特に人材採用の中で感じましたことを女性の視点でお話しさせていただきたいと思います。

店舗立ち上げに伴い、スタッフを募集したところ、10人中9人が女性でした。

アクセアは日本でも比較的女性が多い会社ですが、それでもこの人数には驚きでした。受けていただいた方誰もが前向きで、自分の意見をしっかりと持っており、シンガポールに住む女性はなんて頼もしいのかと思ったことが記憶に新しくあります。日本独特の「長いものに巻かれる」人は一人もいませんでした。

今店舗には私含め、女性(すべて日本人です)が4人おりますが、皆自ら考え動いてくれる人達で、なかなか刺激的でおもしろい職場です。どうも、シンガポールにいる女性は日本にいる女性と何かが違うようです。

1ヵ月半前、シンガポールに来てまず驚いたことが、ビジネス街の中にいる女性の比率の高さです。お取引先にご挨拶に行っても、担当者が女性だったことが多々ありました。皆さん前線で活躍されており、その働きっぷりに感動さえ覚えます。

日本での女性の社会進出は昔より進み、今の30代は、40代、50代の人が経験してきた30代よりも明らかに働く環境が良くなっています。10歳、20歳上の先輩女性と話していると、重要なポジションに就くことができ、責任ある仕事を任せてもらえるようになったのは本当にここ十数年の間なのだと感じます。それでもシンガポールの女性の勤務環境とは比較になりません。

出産直前まで働き、出産後すぐに復帰できるシンガポール社会。いつか日本でも、シンガポールのような労働環境になる日が来るのか、女性として気になるところです。なぜこれほどにシンガポールは働く上で男女の立場が近いのか、それを分かるようになるには、私自身もっとこの国で働いてみないと見えてこないとは思います。

日本では、女性の私は男性社会の中で働くということに多少なりともストレスがありました。突然増えだした働く女性という奇妙な生き物を、どう扱っていいのかわからない男性が多いようで、色々と気を使われてしまうのです。

それがこの国ではまったくありません。女性が働くことが当たり前な国で働く、ということが、これほど快適だったとは。言葉の壁や文化の違いがある中で、新会社の立ち上げをすることはなかなか困難も多いですが、それでもシンガポールに来てスッと楽になったものは確かにあるのです。

確実に言えることは、まわりに結婚しても働く女性がたくさんいるということそのものが、多くの人が安心して働き続けられる支えになっているのだということです。逆を返せば、どこか女だからと甘えていられた日本のような環境はここにはありません。

自分で稼いで、生活も自分で組み立てていく。なかなかシビアです。そうやって強くならざるを得ない中で、それでも日本人ならではの謙虚さや丁寧さを忘れずにいたいとも思ったりもします。改めて日本人であることの長所は何であるのか意識していかないとなりません。土地になじみつつ染まりきらず、母国の良さを出していくということ。私たちシンガポール在住の日本人女性の課題はまさにここにあるのではないでしょうか。

弊社もこれからローカル採用を検討しており、シンガポールと日本をうまく混ぜて良いサービスを作り出すことが課題の一つです。

シンガポールにいる日本人女性は、海外にいるというだけでも、強い覚悟を持っている方達なのだと思います。この労働環境の整った場所で働くということは、その人達の持っているポテンシャルを最大限に発揮できることになります。おこがましいようですが、私を含めて一人でも多くの日本人女性が、シンガポールという土地で働くことで元気に成長してほしいと思います。

シンガポールで働いた経験を持つ女性達が日本に帰った時、きっと日本の女性の労働環境にちょっとした良い影響が与えられるのではないか、そんな期待もするのです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.210(2012年04月16日発行)」に掲載されたものです。

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