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2015年8月7日

現地法人のローカル化に向けて

TISI (Singapore) Pte. Ltd. Corporate Planning Manager 伊藤 利興

弊社TISI (Singapore)はTIS(株)の現地法人として、ASEANに進出されている日系企業様に対しIT全般のご支援をさせていただくことを目的に、この1月にシンガポールに設立いたしました。私自身も会社設立に伴い1月に来星し、会社の立ち上げ、事業基盤の確立にあたってまいりました。

会社も私もシンガポールに来て9ヵ月あまりですが、この間、シンガポールのみならず、ASEAN各国で、多くのお客様や協業先のIT企業と接し、仕事を進めてきました。多くの課題にぶつかりながら日々悪戦苦闘しておりますが、その中でシンガポール・ASEANで弊社がしっかりとした基盤を作るための課題の一つが「ローカル化」であると認識しています。

私どもにとっての「ローカル化」とは、ローカルスタッフや地場のITベンダーと協業しながら日系企業様のITシステムに求められる品質、サービスを実現すること、と考えております。こういったことを実現していくための、特に人材面でのステップを考えると以下のようになります。

1.駐在員のローカル化

単に現地の考えや慣習を理解する、ということにとどまらず、駐在員が自分自身で現地のビジネスのさまざまな問題点を解決しながら経験値として蓄積することは、日系企業様をサポートする上で大きな力になると信じています。

弊社は日本の本社では大きな組織を持ち、役割分担をしながら業務を行うことができますが、当地では一人で複数の役割をこなしながら、日本では担当外の仕事もしていく必要があります。こういった経験は時に苦しくもありますが、現地にいないとできない貴重な経験です。

こうした経験を積んだ駐在員の「地力」が後に述べるローカルベンダーやローカルスタッフと接する上でも大きな力となると考えています。

2.ローカルIT企業との協業

ITシステムの構築や運用においては、複数の企業が協業してトータルのサービスを実現ます。これは日本でもASEANでも同じであると思います。

またITシステムは企業の事業活動と直結しており、ASEANにおいてはASEANのインフラや、法律、税制を反映している必要があります。このようなことを考える時、現地のビジネス環境の知識をもったIT企業との協業は私たちの事業にとって必須であると考えています。

私たちが日本で実現してきた品質管理やきめ細かいサービスを、協業先の知識や技術を尊重しながら彼らと一緒になって現地のビジネス環境に適用させることは、私どもがASEANに根を張って活動する上での重要な要素となります。

3.ローカルスタッフの採用・育成

弊社でのローカルスタッフ、特にITエンジニアや営業などの事業の最前線に立つ要員の採用はこれから本格化させる段階にあります。今後、ローカルスタッフを雇用することには多くの苦労や課題があると覚悟しております。

9ヵ月あまりですがシンガポールの人たちの仕事ぶりについて感じるのは、彼らはプロセスよりは結果を、段取りや準備よりもスキルを発揮し仕事を完遂することを重要視している、ということです。仕事に対するアプローチについての日本人との「差」、と言えるかもしれません。

しかしながら、目標を実現すること、そのために努力すること、に対するシンガポール・ASEANの人々の意識は日本人と同様か、それ以上に高いのではないか、と感じています。彼らに単に日本式を押し付けるのではなく、高い品質や、きめ細かいサービスを実現させるためのコミュニケーションや準備の価値を理解してもらい、それ自体を目標とすることで彼らの能力を引出せるのではないか、と感じています。

これらを実現し、駐在員、現地パートナー、ローカルスタッフが一体となって仕事を進めたときに真の「ローカル化」が見えてくる、また、それをもってお客様に高い品質のITサービスを提供することで私どもの事業のあるべき姿が見えてくる、と信じて私自身もシンガポールでの仕事に取り組んで行きたいと思っております。

以上、少ない経験で書き連ねてしまいましたが、「ローカル化」はASEANで活躍される多くの諸先輩企業の方々が悩み、克服された問題であると理解しています。これを機にお読みいただいた諸先輩の方々からのご意見を頂戴できれば幸いでございます。

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.221(2012年10月01日発行)」に掲載されたものです。

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