シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX求人TOPアメリカ系MNCの人事制度の競争力

Employer's Voice

2013年7月15日

アメリカ系MNCの人事制度の競争力

マイクロソフト 法人営業事業部アジア人事担当シニアマネージャー 森岡綾子 業種:IT・ソフトウェア

現在、私はマイクロソフトシンガポール法人に籍を置いてアジア地域の法人営業事業部の人事を担当しています。主な業務は、マイクロソフト(以下、MS)の本社事業部(HQ)で打ち出される人事施策・人事方針の各現地法人での導入・実行支援と、アジア地域(中国、インド、日本、ASEAN諸国)でのサクセッションプラン(後継者育成計画)を中心とした人材マネジメントです。
完全な人事制度が存在しないように、MSの人事制度も完全ではありませんが、MSは色々な国でGreat Place to Work 等の調査で常に上位にランクインしており、このような評価を得るには企業の人事制度の充実度が少なからず影響していると思います。そこで、私の視点からMSの人事制度が優れていると思う点について共有したいと思います。

私から見てMSの人事制度が特に優れていると思う点は、次の2点です。

  • 評価制度、職能制度、キャリアプランニングプロセス、全て全世界共通の人事制度
  • MSでのオープンポジションに世界中の誰でも応募でき、競争がオープンである

コミットメント設定・評価・評価レーティングの分布割合・業績評価給(ボーナス)といった評価の仕組みはもちろんのこと、職務分類・職能制度、キャリアディスカッションの年間サイクルや人材レビューの内容、またツール、データベースといったシステムも含め全世界共通の仕組みが導入されています。福利厚生は例外ですが、給与レンジの設定も各国のマーケット給与水準を基準にしてどの程度の競争力を持つよう設定するかというガイドラインがあり、マーケットでの相対的給与水準は同じレベルに保っています。
また、オープンポジションは必ずジョブサイトにポスティングすることを原則としており、世界中誰でも応募することができ、その結果、人材間の競争は非常にオープンで、優秀な人材であれば世界中にキャリアのオポチュニティー(機会)が広がっています。現在、多くのMNCがグローバルに人材確保のための競争を繰り広げ、グローバルなキャリアオポチュニティーを謳っていますが、MSではグローバルオポチュニティーの実現可能性が他の欧米系MNCに比べても高くなっています。日本MS社からもUS本社やシンガポール等への異動が毎年行われている現実を見ても、企業の人事制度が謳い文句だけでなく、実を伴い機能していると言えるのではないかと思います。
今後、優秀な人材確保のためのグローバル競争は一層加速するでしょう。そのためにも企業の人事制度の競争力を高めることは一層重要度を増していくと思われます。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.238(2013年07月15日発行)」に掲載されたものです。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX求人TOPアメリカ系MNCの人事制度の競争力