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2014年1月1日

算数教育への関わり方

Sakamoto Educational Systems Pte Ltd マネージングダイレクター 若林 憲司 業種:教育

弊社は、「日本の中学受験で培った算数のノウハウを世界へ拡げる」を目標に、1997年よりシンガポールを拠点に近隣諸国へサカモト式算数の普及活動を続けております。今や世界標準になりつつある算数シラバスを統括するシンガポール教育省からプログラムの認可を受け、東南アジア各国の教育関係者からご好評をいただいております。
仕事柄現地の小学校を訪問し、先生方と技術交流を行うことがよくあります。立派な校舎、充実したIT機器の数々を拝見し、シンガポールの国家としての教育への力の入れようをうかがい知ることができます。また指導される先生方は多忙で、一般企業に比して高給であることもうなずけます。それでもあまりに忙しいので、離職される先生方は依然多いと聞いています。
創業以来塾のフランチャイズを展開していますが、昔はビジネスマンや既存の塾の経営者からの問い合わせがほとんどでした。最近は家庭教師、塾講師、さらには学校の先生からの問い合わせが増え、実際に教師を辞めて独立し、自らの教育理念の実現を目指している方もいらっしゃいます。

塾は初期投資が少なく、比較的容易に始められます。しかしその殆どが数年内につぶれています。他の塾との明確な差がつけられないことが一因です。独立したい、あるいはサイドビジネスとして塾経営を始めたい方は、リスク、ロングタームという視点のほかに、差別化という点も考慮に入れられればと思います。
シンガポールでは民間業者が小学校の教室を利用して様々な授業やプログラムを行っています。保護者会が学校へ招き入れる場合もあります。勉強できる場所があるんだから、いいものだったら自分達の子供へ教えようという気概を持った方々が尽力され、自分達の学校がより良いものになっていくのです。
これはシンガポールだけではありません。最近アフリカ、ナイジェリアの有名私立小学校からも問い合わせが入りました。「そちらではどのような算数の問題を教えているのか学年別に教えてください」と尋ねたところ、なんと、計算問題に関してはシンガポールより1学年早い内容を教えていたのです。先進国の算数、文章問題を知りたい。大変熱心な学校がアフリカにあるとは驚きでした。「子供は人類の宝であり、教育が社会を発展させる」という我々が持つ信念は、世界に通じるものがあると思いました。
教育の可能性は無限です。教育産業への投資は、すぐにハイリターンがあるものではありません。しかし、人々がより豊かになる一助となることは確かだと思います。教育の理想とビジネスの両立を小学生の教育にささげたい。そんな方々を支援することで、シンガポール社会に貢献させていただきたいと思います。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.249(2014年01月01日発行)」に掲載されたものです。

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