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Employer's Voice

2014年7月7日

リーダーシップのあり方

Enmaru International Pte Ltd Manager 織田 健史 業種:レストラン

2011年にシンガポールに来て早2年半が経ちました。日本でのレストラン経営と最も異なる点は言葉、文化、法律を含めた価値観の違いです。それに対してどのように向き合うかが本当のリーダーシップのあり方だと今は感じています。同じ価値観を共有するためには、まず自分が相手の価値観を心から認めること。相手が何を望んで、どのように働いていきたいかを理解し、共感すること。

最初の頃は、「日本のレストランではこうあるべきだ」と主張するばかりで、なぜ相手が思うように動いてくれないのかをずっと悩んでいました。ときにはスタッフと揉めながらも試行錯誤していました。しかし、ある出来事をきっかけに、自分はここでは外国人なんだと再度認識させられ、自分の役割は、何かを強制させるのではなく、相手を信じリスペクトすることで、自発性を生み出すことなんだ、と思うようになりました。

その出来事というのは、ある時ささいなことでローカルスタッフと口論になり、これ以上話しても意味がないと思った私が「もういいから、帰ってくれ」と言った際にその手が彼に当たり、結果的に公的機関を巻き込む大問題になったことでした。
今でこそ話のネタになりますが、当時はとても凹みました。これが日本だったらこんな大ごとにはならなかったでしょう。当たり前ですが、国は国民を守るんだと改めて感じた出来事でした。もっと国民性を理解し、その中でいかにして日本の良さを組み込んでいけるかがシンガポールで成功する大きな要因なのだと思います。

人材面では周知の通り非常に人材確保が困難な状況が続いています。飲食店の労働環境を変えていくこと、給与等の待遇を改善していくこと、簡単ではないのですが、我々の会社で働くことで、物心両面で幸せを感じられる環境を作っていくことがソリューションだと考えています。

まずは会社もそうですが、自分自身がどのようなお店、会社にして行きたいか、仕事を通じてどのような人生を歩んでいきたいのか、ぶれない生き方が根底にあって、相手のことを思いやる優しさを持つことで共通の価値観が醸成されていくのだと思います。理念とビジョンを明確にして、そのベクトルに個人の夢や目標が合うことで、会社、個人、お客様全員がWin-Winになれる組織をつくっていきたいと考えています。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.260(2014年07月07日発行)」に掲載されたものです。

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