シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX求人TOP苦い経験

Employer's Voice

2014年7月21日

苦い経験

Saikai Toki Trading Pte Ltd Managing Director 川崎 琢哉 業種:陶磁器卸売・販売業

赴任して早8年が過ぎようとしています。中小企業の弊社はなかなか人が定着せずに悩んでいました。西海陶器は、有田・波佐見をはじめとした九州肥前地区の陶磁器製品の加工や卸販売、輸出などを手掛けています。1990年にシンガポールに進出し、百貨店、ホテル、飲食関係に商材を販売しています。

2005年後半、初めは出張ベースでシンガポールに来ていました。現地のスタッフは当初3人で来星当初から私に良くしてくれましたし、仕事も思っていたよりは良くやってくれていました。

シンガポールの経済が良くなって行くにつれ、仕事も増え、赴任することになりました。赴任後、スタッフの仕事ぶりを見ているうちに、全体的な仕事量が増えている割には、効率がなかなか上がらないことに気づきました。

そこで、ランダムに日を選び、スタッフの仕事を、1日一緒にやってみました。人それぞれ能力の違いはあると思いますが、「さすがに大目に見てもこれぐらい1日で終わる」というような仕事を、2日間丸々使ってやっていたことがわかりました。

赴任前からのスタッフだったので信頼していましたが、これにはがっかりで、以前から忙しく一所懸命仕事していたふりをしていたようです。その当時、販路拡大と売上アップの指示を本社から受けていたので、一度スタッフから話を聞いてみることにしました。そしたらこんな答えが返ってきました。

「以前はこんなに仕事は多くなかった、わたしはこれだけしか仕事をしない」。

驚きました。そのスタッフは赴任当初から「給料を上げてくれ」とばかり言っていました。私はてっきり、「仕事もガッツリやるから給料もくれ」と言っているものだとばかり思っていました。しかし逆で仕事量は少なく、給料をたくさんもらいたいという考えでした。確かに楽して給料もらえることに越したことはありませんが、会社に入ればそれなりに仕事はあるのです。

その後、新しいスタッフを入れましたが、同じような考えのスタッフが続けざまに入社したので、代わる代わる、いい人材に巡り合うまで面接し、ようやく現在のスタッフで落ち着きました。落ち着くまではスタッフに仕事を教えることでいっぱいいっぱいで、会社を伸ばしていくには程遠い状況となり、大変な時期を過ごしました。

シンガポールに赴任する前にいたアメリカでは、自分のパフォーマンスに応じて成果を求めます。また日本ではそれなりに皆仕事をします。シンガポールに来て、東南アジアの色々な人種の人々の考え方、価値観、生活がわかるようになってきました。苦い経験を糧に前進していきたいと考えています。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.261(2014年07月21日発行)」に掲載されたものです。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX求人TOP苦い経験