シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX求人TOP「和星折衷」がサービス価値向上の最大のカギ

Employer's Voice

2014年8月19日

「和星折衷」がサービス価値向上の最大のカギ

Asatsu-DK Singapore Pte Ltd Business Director 新井 健史氏 業種:広告代理店

Asatsu-DK Singaporeはシンガポールに進出して約20年。基本的にBtoBで、パッケージ化された製品を持っておりません。クライアント様のそれぞれのブランドや製品が持つそれぞれの課題のために、カスタムメードのコミュニケーションのソリューションを構築します。最近はソーシャルメディアの浸透で、1to1から更に進化しMtoM (Many to Many)に向かう『マーケティング3.0』の時代と言われています。市場の進化に合わせてソリューションの多様化を図るため、質の高い人材確保がアウトプットのクオリティの向上に直接影響を与えます。

特にシンガポールはデジタルテクノロジーの進化が顕著で、スマートフォン普及率も高くなっています。コミュニケーション戦略のデザインはデジタル化された消費者の行動に合わせてプランニングする必要がありますが、デジタル人材の獲得競争は激しく、各社苦労していると思います。クライアント様の課題を発見し、道なき所に道を見つけ作って行くため、最近は「広告代理業」の枠をはるかに超えた期待値を頂いています。

その点、ローカルスタッフたちは効率性や論理性を持ち、ある道に乗って効率的にアウトプットを出すのは比較的得意という印象があります。しかし、深い思考による戦略性や消費者の期待を超えたクリエイティビティを追求する場合、これだけではクライアント様の期待に答えるのに十分ではありません。

日本人、日本企業は、歴史的に異なる2つの物の良いところをミックスして新しい価値を作り、製品やサービスを絶え間なく進化させることが得意な人々であると考えています。昔から和洋折衷という言葉もあり、古くは欧州文化を積極的に取り入れ独自の文化を作ってきた側面を持っていると思います。複数の文化が混在したシンガポールにいる利点を生かし、今度は「和星折衷」で、新しい形を作り出していけないかと努力しています。日本的な価値だけをスタッフや消費者に押し付けても、受容し関心を継続してもらうのは難しいと思います。

日本のクリエイティブ制作のスキルセットは世界的に見ても、誇れるものです。ここにシンガポールのより高い戦略性と効率性、そしてローカルカルチャーの良さをミックスした所に、日系広告代理店が東南アジア市場でも勝負し続けられる価値を作って行けると考えています。そして、それを成し遂げるキーは東南アジア各国から集まるローカルスタッフであり、戦略的な必要に応じては、シンガポール国外からも各職種の採用活動やスタッフトレーニングも集中して行っています。これがBtoBソリューションとして、弊社のサービスの価値向上の最大のカギになると考えています。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.263(2014年08月19日発行)」に掲載されたものです。

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