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「シンガポールはひとつ」の誓いを新たに

  • ナショナル・デー・パレード実行委員会 チェアマン(ショー部門)デズモンド・タン大佐

毎年8月9日のシンガポール建国記念日に開催されるナショナル・デー・パレード(NDP)。メイン会場への入場チケットは毎年数十倍の応募がある人気ぶりで、国を挙げての一大イベントとして、シンガポール国民がみなこの日を心待ちにしている。

デズモンド・タン大佐

デズモンド・タン大佐

NDPは、軍や警察、民間防衛隊によるパレードと、地元シンガポールのアーティストやダンサーによる大規模なショーと大きく二部構成になっているが、後者のショー全体の本年度総責任者であるシンガポール陸軍のデズモンド・タン大佐が、NDPへのシンガポール国民の想い、その想いをひとつにするために今年のショーに凝らした工夫などを語った。

4000人のパフォーマーが織り成すショー

毎年8月が近づくと、シンガポールの街中いたるところでシンガポール国旗や、エンブレム、オーナメント、巨大な立て看板などを見かけるようになる。シンガポール国民にとって一大イベントであるNDPが近づいて来たことに誰もが気付く。

メイン会場で繰り広げられる華麗なショーは、NDPの大きな見どころのひとつ。テレビでも中継され、近年はインターネットでも配信されるようになった。シンガポール国民が注目するこの巨大プロジェクトの総責任者であるタン大佐に、何が一番大変ですかと尋ねると、「スケールの大きさ」という答えが返ってきた。「1000人近くの実行委員会スタッフと、約4000人のパフォーマーを動員して、約1年かけてひとつのショーを作り上げる訳ですが、参加しているパフォーマーはほとんどが一般人。また、NDPでは毎年違う何かを見せなければなりません。どんなショーにするのか、どんなメッセージを伝えるのか、そもそもNDPとは?と自分達自身に問いかけながらアイディアを出し合い、技術的にどう実現していくか、民間の専門家の協力も得ながら議論を重ねました。」

ショーの実行委員会は、ショーの中でのパフォーマー全員の動きはもちろん、集合や入退場、コスチューム、パフォーマーのための食事など、周辺のことも含めて全て段取りしなければならない。「これだけの人数ですから簡単ではありません。でも、やりがいも大きいですね」というタン大佐のことばに、この1年余りで、舞台の裏側で何千人もの人々を動かして作り上げてきた喜びや達成感の大きさが感じられる。

シンガポール国民にとってのNDP

「1960年代半ば以降に生まれたシンガポール人は、毎年NDPを祝うのが当たり前のこととして育ってきました。この時期に軍の戦闘機やヘリコプターが立てる大きな音が上空から聞こえてくると、それだけでもうワクワクするんですよね。」ナショナルスタジアムに近いカラン地区に住んでいたタン大佐の幼い頃の思い出の中にも、飛行機の大きな音と、パレードを一目見ようと集まった大勢の人達で賑わっていた沿道の風景があるという。

「かつては、メイン会場への入場券を求めて人々が何日も並んでいたものです。シンガポール国民にとってNDPは本当に特別で、いわば最大のパーティなんです。」陸軍に入るまでは、NDPはテレビでしか見たことがなかったというタン大佐だが、実際にメイン会場でのNDPを体験して、その圧倒的なパワーや魅力を実感したという。「何万人もの人達と一緒にパレードやショーを見て、同じ歌を一緒に歌い、共に過ごす体験というのは、家族や仲間と一緒に家のテレビで見るのとはまったく違うものでした。ショーのパフォーマーも決してプロではありませんが、何千人もの人達がひとつのショーを作り上げている。皆で作っているNDPを通じて、この若い国が一歩一歩前進していることを実感するんですよね。この特別な体験を会場で皆味わいたいのだと思います。」

NDPショーに込められたメッセージ
Singapore's Pledge

We, the citizens of Singapore

Pledge ourselves as one united people

Regardless of race, language or religion

To build a democratic society

Based on justice and equality

So as to achieve happiness, prosperity &

progress for our nation

(日本語訳)

シンガポールの誓い

我々シンガポール国民は

我々自身に誓う ひとつの団結した民として

人種や言語、宗教によらず

民主的な社会を築くことを

正義と平等に基づいて

我々の国の幸福、繁栄、発展を成し遂げるために

NDPのショーには、毎年様々な趣向が凝らされているが、今年の最大の目玉は『The Pledge(誓い)』。ショーのクライマックスを迎える午後8時22分に、メイン会場はもちろん、シンガポール国内のあらゆる場所で一斉に合図が出され、国民全員が右手を胸に誓いのことばを述べる。シンガポール独立直後の1966年に当時のS.ラジャラトナム外務相が草稿を作成、リー・クアンユー首相から内閣へ提出されて正式に『Singapore's Pledge(シンガポールの誓い)』となったもので、小中学校やポリテクニックでも毎朝暗唱されている。国民には極めてなじみ深いものだ。「この誓いの言葉を国中で一斉に暗唱することで、ひとりひとりがその意味を改めて考える機会にしたかったんです。ショーのパフォーマンスにもこの誓いが織り込まれているんですよ。」

多民族国家で、人種の違い、言語の違い、宗教の違いなど、人々を分け隔てることになり得る要素を抱えているからこそ、「シンガポール国民」としてひとつにまとめ上げる取り組みがこの国では欠かせない。NDPはその絶好の機会でもある。ショーを観ながら、パフォーマンスの中に込められたメッセージを読み取るのも楽しみ方のひとつだろう。

最後に、タン大佐からアジアエックス読者へのメッセージを頂いた。

「皆さんもぜひNDPを見て楽しんでください。シンガポールならではのユニークなイベントですし、この国の文化、アイデンティティに触れる絶好の機会です。シンガポールという国が歩んできた44年の歴史を皆さんにも知っていただけたらと思います。」

8・9 シンガポール建国記念日 National Day Parade 2009Come Together - Reaching Out - Reaching Upみな一緒に、手を差しのべ、伸びてゆこう

1965年8月9日に建国されたシンガポールは、今年で44周年。毎年恒例のナショナルデーパレード(NDP)が8月9日にマリーナ・ベイ地区の浮体施設「The Float @ Marina Bay」で開催されます。

当日は、シンガポール陸海空軍、警察、民間防衛隊によるパレードが会場の外でも見られます。パレードは、7時40分頃出発し、ラッフルズ・アベニューを西へ進んでエスプラネード・ドライブ、セント・アンドリュース・ロードを経て再びラッフルズ・アベニューを通過、8時30分ごろF1のピットストップへ到着する予定です。

また、今年は初の試みとしてNDPカウントダウンパーティが8日にクラークキーで行われるほか、シンガポール島内各地でのロードショーなど、関連イベントも多数開催されます。

イベントや会場周辺の交通規制情報など、詳しくはNDP公式サイトをご覧ください。

ナショナル・デー・パレード(NDP)概要

開催日2009年8月9日
会場The Float @ Marina Bay
2009年08月03日

文= 石橋雪江

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