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第13回ASEANサミット2007 シンガポール

ASEAN憲章に署名、共同体を構築へ

第13回ASEANサミット2007 シンガポール

創設40周年記念首脳会議をシンガポールで開いた東南アジア諸国連合(ASEAN)は11月20日、最高規範となるASEAN憲章に調印した。

憲章はこれまでの「全会一致」から一歩踏み出し、一致が見られない場合首脳会議が特定の方法で意思決定できるとの柔軟規定が盛り込まれる。

会議前に地元紙との会見に応じたリー・シェンロン首相は「憲章は画期的出来事だ。しかしすべての加盟国が全力で取り組んで初めて、憲章に掲げられた未来像が実現する」と実際の行動に移すことの重要性を指摘した。リー首相は憲章を、「ASEANを緩やかな地域組織から、ルールに則った実効性ある組織に生まれ変わらせる」とした。

憲章は組織としての強化を図るもので、紛争解決などについて明確に規定した。首脳会議は年1回から2回に増やす。人権委員会を設置する。委員会の構成、内容は未定。憲章は来年、タイで開催の首脳会議までに全加盟国の批准を目指すが、ミャンマーは軍事政権による憲法停止で議会はなく、批准が危ぶまれる。

首脳は「ASEAN経済共同体の青写真」、および2件の環境に関する文書にも調印。共同体計画では2015年までにモノ、サービスの貿易、投資、技能労働者の往来を自由化する。環境に関する宣言では、汚染対策、森林保存などの取り組みを謳い、気候変動に対する国連の取組みを支持する。

ASEAN憲章の要旨

ASEAN首脳が11月20日、調印した憲章はおおよそ以下の通り。

目的
加盟国を競争力ある単一市場に統合し、モノ、サービス、投資の流れを自由にする。民主化を促進し、人権、基本的自由を保護、推進する。
規則
意思決定は引き続き、一致、協議による。事務局が憲章順守を監視し、違反があった場合は首脳会議に報告する。(違反に対する制裁措置は盛り込まれていない)。
紛争解決
紛争解決メカニズムを成文化する。紛争当事者は仲介をASEAN議長あるいは事務局長に要請できる。
首脳会議
首脳会議を年2回に増やし、新たな会議は非公式とする。
人権
人権、基本的自由の保護を目的に人権組織を設置する。ASEAN外相会議が権限について規定する。
共同体構築
実業家、市民団体、学術者、一般市民の交流を通じASEAN共同体を構築するため、ASEAN財団を設ける。

環境に関する文書では、原子力エネルギーの利用推進、森林面積の拡大、安全な飲料水を入手できない住民の2010年までの半減、などを盛り込んだ。

地球温暖化対策では、先進国が温暖化ガスの排出削減で主要な役割を果たすべき、との立場を改めて明確にした。

ASEAN共同体、一部サービスは前倒し

アセアン憲章にも明記された欧州連合(EU)式共同体が構築されることにより、例えばハノイに設置されたマレーシアのマラヤン・バンキングのATMを現地住民が利用し、ミャンマー人医師が、シンガポール人実業家がフィリピン・ミンダナオ島で経営する病院で患者を診察するといった、自由な資本、人の往来が現実のものとなる。

共同体構築目標は当初予定より5年早い2015年だが、4つのサービス分野(航空、域内電子化、保健・医療、観光)については2010年までに貿易障壁を撤廃する。物流も同年までに完全に自由化する予定だ。産業界は共同体構想を支持、マレーシア小売りチェーン協会幹部は「モノの自由な移動で生産コストが下がり、他の地域との競争力が増す」と述べた。

リー・シェンロン首相は首脳会議に先立つ実業家との懇談で「域内経済統合は、製品価格の低下、雇用、収入の増加をもたらす」との展望を示した。

関税撤廃ではかなりの進展が実現されているが、共同体構築に向けた文書は、関税以外の障壁にも言及しており、非関税障壁の撤廃、通関手続きの統一、貿易経費の低下に対する取り組みを強調した。

福田首相、年内の訪中示唆

ASEANプラス3や東アジアサミット(EAS)出席のためシンガポールを訪問した福田首相は、11月20日、中国の温家宝首相との二者会談に臨んだ。会談で温家宝首相は「(日中関係は)歴史的な転換期を迎えている」として、この機会を活かして日中関係がより強化されることを希望するとした。福田首相も、両国の関係が改善されつつある現在の状況は喜ばしいことであるとし、今後も互恵関係を強化していきたいと述べた。

福田首相は、早ければ年内、もしくは年明け早々には訪中したいとの意向を表明。12月1・2日に北京にて開催の「ハイレベル経済対話」について、両国の閣僚級メンバーが出席しての初めての対話が自身の訪中前に実現したことを歓迎した。

温家宝首相からは、2008年に日中友好平和条約締結30周年を迎えるにあたり、来年を人的交流を促進するための「友好交流年」として、特に若い世代の交流を促進することが提案され、福田首相も賛同の意を表した。また、台湾問題については、「慎重を期する問題であり、日中関係を考慮した適切な対応」を日本側に求めた。

また、中国、日本、韓国の3首脳による首脳会議も行われ、今後も3カ国間での協力を推進していくことで合意。日本からも北朝鮮の核問題や拉致問題解決に向けての協力を改めて要請した。

ASEANプラス3、CLVと日本

11月20日に開かれたASEANプラス3の中では、今後10年間のASEAN・東アジア地域協力の基本コンセプトとなる第2共同声明を採択。人権問題、民主化、域内協力のオープン化・透明化といった要素が盛り込まれ、具体的には「チェンマイ・イニシアチブ」の多国間への拡大、環境問題対策のための枠組み作りへの積極的な参加などが盛り込まれた。アジア太平洋経済協力(APEC)やEASといった枠組みとの協調も図る。第2共同声明の実現に向けた「作業計画(Work Plan)」も同時に定められた。

福田首相からは、デジタルアートやCGなどの分野でのASEAN・東アジア地域の交流を促進するための「デジタルEXPO」の開催が提案された。ASEANプラス3で行っていく様々なプロジェクトを支援するための協力基金設立については、今回の会議では具体的な決定事項はなかったが、福田首相は日本として支援の用意があることを表明した。

福田首相は、カンボジア、ラオス、ベトナム(CLV)3国との会談にも臨み、今後3年間の日本からのODA強化を表明。地域全体がバランスを取りながら発展していけるよう、必要な支援を行っていくとした。来年1月には東京でメコン川流域の経済開発について会議が開催される予定。

ASEAN-日本間EPA、来年秋には発効へ

日本とASEANは11月21日に開いたASEAN・日本サミットの中で、EPA(経済連携協定)交渉を妥結、共同声明を発表した。2008年後半には発効される見込みで、投資や貿易の活発化が期待される。

今回のEPAで日本は90%以上の物品について関税を撤廃、更に3%の物品が10年以内に関税撤廃の対象となり、米など一部を除いて大部分の物品について関税が撤廃される。ASEAN各国も10年以内に90%以上の関税を撤廃する。但し、CLV3国については猶予期間が設けられる。

また、鳥インフルエンザ対策として、日本からタミフルの追加供与が発表された。今後はシンガポール以外の各国でも貯蔵体制が整えられる。

海上輸送安全確保も懸案事項のひとつとなっているが、ASEAN各国と日本が引続き協力して対応していくことで合意。日本からは資金提供だけでなく要員の訓練などにも協力する。

第13回ASEANサミット2007 シンガポール概要

開催日2007年11月18~22日
2007年12月03日

文= AsiaX編集部

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